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涼宮ハルヒの憂鬱3 2008年3月発売 630円 発売元:株式会社 バンダイ ラインナップ 名前 涼宮ハルヒ(ゴスロリVer.) 長門有希(アリスVer.) 朝比奈みくる(青メイド服Ver.) 朝比奈みくる(青メイド服眼鏡Ver.) 鶴屋さん(イエローバニーVer.) 鶴屋さん(ピンクバニーVer.) 鶴屋さん(ブルーバニーVer.) その他 名前 コメント
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ハルヒ「宇宙人っていると思う?」 キョン「禁則事項です」 ハルヒ「・・・・・・」 キョン「すまん、言ってみたかったんだ」 ハルヒ「・・・・・」 キョン「長門にはコスプレさせないのか?」 ハルヒ「あら、みたいの?じゃあ選んで」 キョン「あ、いや別にそこまで見たいわけじゃないんだ」 ハルヒ「そう・・・・・」 ハルヒ「ねえキョン! 今度の日曜日卓球のダブr」 キョン「断る」 ハルヒ「今から連sy」 キョン「断る」 ハルヒ「な、何よ……もういい! あんたなんかに頼んだ私がバカだったわ。みくr」 みくる「断る」 ハルヒ「k」 古泉「断る」 ハルヒ「…………」 長門「…………」 ハルヒ「…………」 長門「……一緒に出る?」 ハルヒ「断る」 ハルヒ「有希であいうえお作文しまーす!」 ハルヒ「な!夏でもCOOL!」 ハルヒ「が!学校でもCOOL!」 ハルヒ「と!とにかくCOOL!」 ハルヒ「ゆ!融通が利かないけどCOOL」 ハルヒ「き!キョンにはHOT!」 ハルヒ「…何だろう…この空しさ…」 キョン「スレタイ変えたほうが良いんじゃないのか?」 長門「代案の提案を希望する」 キョン「・・・・キョンと愉快な長門達」 長門「・・・・・・」 キョン「スマン聞かなかったことにしてくれ」 長門「・・・・・・長門と801なキョン達」 キョン「・・・・・」 長門「・・・・・ゆずれない」 キョン「・・・・・」 長門「・・・・・」 ハルヒ「ハルヒとy」 キョン「やはり今のままでいいな」 長門「コクリ」 ハルヒ「(´・ω・`)」 小泉「ハルヒさん、あなたにあきれて ほかの人は帰ってしまいましたよ。」 ハルヒ「待ちなさいよ、何にあきれたわけ?」 小泉「・・・その服、どっからどう見ても 裸ですよ。」 ハルヒ「・・・・・!!」 女子A B「きんもぉ」 谷口「キョン、放課後遊びに行こうぜ」 国木田「谷口がゲーセン行こうってきかないんだよ」 ハルヒ「何言ってるの!キョンは今日もSOSだ キョン「おういいぜ」 谷口「おっしゃ!今日こそ勝たせてもらうぜ!!」 国木田「谷口ゲーム弱いのに好きだよねー。」 キョン「まったくだ。今日も賭けのジュースはいただいたも同然だな」 ハルヒ「ちょっとキョン何勝手に話進めてんのよ!ちゃんとあたしの キョン「なんかうるせー幻聴聞こえるから早く行こうぜ」 ハルヒ「………」 ハルヒ「みくるちゃん、お茶入れて」 キョン「あ、俺にもお願いします」 みくる「はぁい」 みくる「どうぞキョン君」 キョン「ありがとうございます」 ハルヒ「あれみくるちゃん、私にh」 みくる「今回はおいしく入れれたんですよ」 キョン「いつも通りおいしいですよ」 ハルヒ「・・・・」 長門「(パタン)」 ハルヒ「あっ、もうこんな時間になったのね。今日の活動終わり!解散!」 キョン「なあハルヒ、ちょっと話があるから部室に残っててくれないか」 ハルヒ「な、なによ、みんなの前じゃ言えないような話?」 キョン「ああ」 ハルヒ「わ、わかったわよ」 … …… ……… キョン「ただいまー」 妹「キョンくんおかえりー」 キョン「腹減ったー」 ハルヒ「遅いなキョン…」 ハルヒ「暇ねえ~、まったくなにかおもしろいことはないのかしら」 キョン「チェックメイトだ」 古泉「おやおや、また僕の負けですか」 ハルヒ「ちょっとあんたたち無視してんじゃないわよ! そうね、暇だからしりとりでもしましょう。 じゃあ私からいくわよ!しりとりで『り』よ!」 キョン「…………」 古泉「…………」 みくる「…………」 長門「…………」 ハルヒ「ちょっと、誰でもいいから答えなさいよ! もういいわ、キョンあんたでいいから答えなさい」 キョン「…りぼん」 ハルヒ「…………ハ、アハハハッ『ん』が付いたわ、キョンの負けね! もう、まったく馬鹿なんだから。 じゃあ、もう一度ね次はもっと長くしなさいよ!」 古泉「キョン君もう一戦やりましょうか。次は負けませんよ」 キョン「いいぞ。何度やっても同じだろうがな」 ハルヒ「ちょっと!」 ハルヒ「続き…」 ハルヒ「なによ……」 ハルヒ「…………」 みくる「あ、みなさんケーキ食べます?」 ハルヒ「え?ケーキなんてあるの?ひとつちょうだい」 みくる「フフフ、涼宮さん面白い」 ハルヒ「え?なんで?」 みくる「だって涼宮さんにあげるケーキある訳ないじゃないですか」 ハルヒ「どうゆういm」 キョン「ひとついただけますか?」 みくる「はい、ただいま」 ハルヒ「・・・・・・」 金曜日の部室 ハルヒ「じゃあ皆、明日9時だからね」 みくる「すいません涼宮さん私用事があるので・・」 ハルヒ「あらそうなの?、じゃあ4人で行きましょ」 キョン「すまんハルヒ、俺も朝比奈さんと用事があるんだ」 ハルヒ「え?ふたりで一緒n」 古泉「すいません、僕も朝比奈さんと彼と一緒に町内不思議探しパトロールしなくては」 ハルヒ「え?だから皆で行けばいいじゃない?・・・・ねえ有希?」 長門「まだわからないの?、一緒に居たくないんだよ!!」 ハルヒ「いつもとキャラ違っ」 キョン「じゃあなハルヒ、明日来んなよ」 ハルヒ「・・・・・・・うぐっ」 ハルヒ「今日の会議についてだけど・・・。」 「プゥッ。(おなら)」 みくる「いやぁぁあ!臭い!」 長門「ッ・・・!」 長門は手をくちに押さえたまま倒れこんだ。 小泉「なんてことだ!!学校中が・・・!」 キョン「長門を病院に!」 小泉「はい!」 みくる「・・・・・」 小泉「だめです!みくるさんも!!」 ハルヒ「うう・・・み、みんな、その・・・」 「ブゥウウウ~・・・」 キョン「お、ごっぷ・・・・・・」 バタッ 小泉「・・キョン君!!!!しっかり・・・くそっ!!」 先生「だめです校長!生徒たちが・・・!!」 小泉「オーアァー!!」 ハルヒ「嘘よ・・・こんなの・・・」 女子A「たすけ・・て・・・ハルヒ・・・さん・・・」 ハルヒ「いや・・・・やぁぁああ!」 キョン「寝言うぜぇんだよ」 小泉「今は16時ですよ。寝る時間ではありません。」 みくる「えいっ」 みくる は窓から突き落とした。 私は・・・・・死んだ・・・・ キョン「はははwwみろよ、鼻血が舌にたれてるぜwwくはははは!!」 小泉「おやおやww写真をとりましょうか、記念ですww」 みくる「最高ですー♪」 一同「豚は 死ね!」 高校に入り折角、SOS団を作ったのに誰も来ない。 結成時に入部させたキョンも有希もみくるちゃんも初日以外姿を見せない。 今日も、私はこの元文芸部の部室で開くはずもない扉を見る日々を過ごさなくてはいけないのだろうか。 ガチャ ハルヒ「っ!キョン!?」 扉を開けて入ってきたのは、数名の教師だった。 ハンドボールバカの岡部もいる。 ハルヒ「ちょっと何の用よ?」 教師A「文芸部の部室を無断で占拠しているという報せをうけた」 教師B「まったく同好会にもなっていないくせに勝手なことをしおって」 岡部「とにかく指導室まで来い。それに、うちのクラスの***と 2年の朝比奈がお前に強制的に入部させられたという報せもけたぞ。 なに考えているんだ?」 その後、あたしは指導室で親父と母さんまで呼ばれて、たっぷりと説教をうけた。 部室も没収され、SOS団も解散。 そうして、私は再び世界に絶望した ハルヒ「マッガーレ鼻メガアアアアネ~」 ハルヒ「(´;ω;`)」 キョン「なあハルヒ、大切な話があるんだ。」 ハルヒ「な、なによ///」 キョン「おまえ、シュールストレミング臭いぞ」 補足 シュールストレミングとは、腐ったニシンの缶詰です キョン「ハルヒ、お前ん家教えてくれ」 ハルヒ「なによ、急に・・・・まあ教えてあげてもいいけど・・・・」 キョン「じゃあ一緒に帰ろうぜ」 ハルヒ「こっちよ、ついてきなさい」 キョン「へー、これか」(明日からポストにいたずら手紙詰め込んでやる」 次の日 ハルヒ「あれ?いっぱい手紙来てる」ビリッ ハルヒ「・・・・・・・・・」 キョン「なあハルヒ、俺の弁当食わないか?」 ハルヒ「あんたの弁当なんて食いもんじゃないわ!」 キョン「そうか、じゃあ長門、食うか?」 ………コクッ 長門「・・・美味しい」 ハルヒ「や、やっぱり食べる」 キョン「へ?」 ハルヒ「食べるって言ってんの!早くだしなさい!!」 キョン「そうか」 ハルヒ「あら、美味しいじゃない!これならいくらでも食べれるわ!」 キョン「そうか、じゃあ吐くまで食ってくれ」 ドサッ ハルヒ「え、ちょっとキョン、それじょうだ・・キャァ」 ……………………………… …放課後 みくる「こんにち、、、うわぁ、涼宮さん、くさいですぅ」 長門「・・・臭い」 古泉「これは・・・ひどいですね」 鶴屋「めがっさくさいさ、キョンくんかえるにょろ」 ハルヒ「・・・・・・・・・」 ハルヒ「ふっふっふっ、出来たわ。改心の出来よ! この手作り弁当でキョンのハートは頂いたも同然ね」 ―――― 昼休み キョン「やっと昼休みか。おい、谷口飯食おうぜ」 ハルヒ「待ちなさいキョン!」 キョン「あん?なんだやかましいぞハルヒ」 ハルヒ「うるさいわね。それより今日はこの団長様がわざわざ、 いつも貧相な顔をしている団員のために弁当を用意してあげたわ」 キョン「は?弁当?」 ハルヒ「そうよコレよ。さあ、今まで生きていたことに感謝しながら食べなさい」 キョン「馬鹿かお前は。俺は自分用の弁当があるからそんな重箱一杯の弁当なんか食えるか」 ハルヒ「え、キョン!?」 その時、1年5組に弁当を手にしたみくると長門が入ってきた。 みくる「あのキョン君。今日ちょっとお弁当多く作りすぎちゃったので よかったらいかがですか?」 長門「…作ってきた」 ハルヒ「ちょっ、あんたたt」 キョン「ありがとう朝比奈さん、長門。喜んで食べさせてもらいます。 部室ででも、一緒に食べませんか」 ハルヒ「え?ちょっと、キョン…」 キョン「なんだハルヒ、まだいたのか?早くしないと学食席なくなるぞ。 さあ、いきましょう朝比奈さん、長門」 そうして3人はハルヒを残して部室へと向かった。 ハルヒ「そんな…なんでよ私だけ……キョンの馬鹿…」 ハルヒ「キョン、飲み物買ってきなさい。」 キョン「へいへい、行って来ますよ。」 ハルヒ「え…やけに素直ね?」 古泉「僕もご一緒しますよ。」 みくる「私も行きます~。」 長門「…。(テテテ…)」 ハルヒ「…え…。」 ハルヒ「…。(ぽつん)」 ハルヒ「…。」 ハルヒ「…早く戻って来なさいよぉ…。」 ハルヒ「キョン、もうすぐ夏休みよ、今年は一日も無駄にしないで遊びまくるわよ!」 キョン「ハルヒ、俺はおまえと遊ぶつもりはないぜ」 ハルヒ「えっ、そんな…」 キョン「まあ、どうしても遊びたいなら、ポニーテールにして来いよ!」 キョン「なぁハルヒ夏合宿しろよ」 ハルヒ「な…いきなり何言ってんのよ!どうせあたしの水着s」 キョン「黙れよ…お前がいるとうざくて部室に来れないだろうが。 夏休みなんだから学校に来なくても別にかまわないだろ? 古泉と谷口でゲームを徹夜漬けする予定何だからお前がいると邪魔なんだよマジで。 お前みたいな女マジでうざいんだからとっとと富士の樹海にでも行ってろよ。」 ハルヒ「……」 ハルヒ「みくるちゃん今日はこれ着てみよっか~?」 みくる「くっ臭い、生理くさいですぅ」 ハルヒ「…」 ハルヒ「うほっ!いい男」 キョン「誰もお前となんかやりたくねーよ」 ハルヒ「・・・・」 ハルヒ 「ちょっとキョン! あたしのプリン食べたでしょ?!」 キョン 「知らんな」 朝比奈さん 「えっ・・・・私? 食べてないけど・・・・」 古泉くん 「僕も食べてませんけど?」 ハルヒ「ちょっとキョン!あたしの昔の写真見たでしょ?」 キョン「ああ」(四年前の七夕の日に会ったことあるから知ってるけどな。) ハルヒ「ふん、でどうだった?」 キョン「別に、昔も今も変わらなず生意気だな」
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朝比奈、古泉と自分から会話する。 しかし、1日では1人としか会話できないので、この章は、最低1回はループ。 古泉のSOS会話は、「気分」が一定値以上で会話しないと、キー会話が出ない。
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……と、いかん。回想にかまけているうちにすっかり日が暮れちまった。 ハルヒは雨が降ってるからという理由で朝比奈さんを連れてとっくに帰っている。俺と長門はポエム作成を仰せつかり部室に残っていて、古泉は……こいつもまだ居残りながら、前回の小説誌をなにやら思わしげな表情で読みふけっていた。時々長門に話しかけていたりしたので、長門の不思議小説の解読でもやっていたんだろう。あれの内容では古泉のような登場人物が意味深な発言をしているので、俺よりも更に気にかかるんだろうね。しかし、何故今頃になって。 それはともかくポエムの方なのだが、明日が金曜日であるにも関わらず長門も俺も未だにテキストエディタを活用することなく、パソコンにはまっさらな画面が広がっているのみだった。ホントにどうすりゃいいんだよ。これ。 しかし、今はそれも隅においておこう。朝からずっと言いつぐんでいたのだが、俺はまた朝比奈さん(大)から下駄箱を介して手紙を受け取らされている。今の俺にとってはめっきり嬉しいものではなくなっているが、この手紙は読めば百日寿命が縮むものではなくむしろ伸ばす目的のものなので、俺は例え憮然とした面を浮かべながらも読むしかないのだ。 内容は放課後に元・一年五組の教室で待っているというものだった。以前にどこぞの朝倉さんからもらった手紙の文面と似ていて非常にお断りしたいのであるが、無視できるはずもない。それにこっちとしても会って話を聞きたかったしな。 だが、今回はこれまでとは違う。いつものようにトイレの個室で手紙の封を切りはしたが、それは骨をもらった犬が安全圏に赴いてそれを楽しむといったものではなく、単に散歩コースでお決まりの電柱程度の意味しかない。 それに、もう俺は言われたとおりの芸をする気もさらさらないんだ。朝比奈さん、俺は「お手」といわれて右前脚を差し出せばご褒美が貰えるといった行動に、今度はwhatを挟ませてもらうぜ。あの藤原の言葉をまるっきり信じているわけじゃないが、それでもあなたの行動は怪しすぎる。あそこで俺の朝比奈さんも藤原の話を聞いていたんだから、あの朝比奈さんより未来のあなたは全て知っていたはずなんだ。 それに、藤原は朝比奈さんたちは過去には最初から遡っていないと言っていた。この言葉を信じた上で過去に行くことが目的じゃないのなら、本当の目的は何なんだ? やっぱり、自分の未来へ導くためなのか? それが特殊な未来なら、彼女の指示通りに動く俺たちの未来には、これから何が待ち構えているんだろうか――――。 まあ、それも今から朝比奈さん(大)に会って問いただせばある程度の見当は付くだろう。今度ばかりはそれを聞かないと動きようもないし、時期的にもそろそろ話してくれたって良い。 ……丁度古泉と長門が残っててよかったというべきだな。こいつらには俺がこれから聞く話を帰宅の道中で伝えておこうと思い、 「古泉、長門。今から俺は少し席を外すが、またここに戻ってくるまで待っててくれないか? これからもっと未来の朝比奈さんと会ってくる。いい機会だ。色々聞いてみるよ」 「待って」 おや、という眼差しで長門を見る俺と古泉。長門は「話がある」と俺にうったえ、俺は席を立ってパイプ椅子を机に押し込もうとしていた姿のまま固まり、 「なんだ?」 「情報統合思念体のこと。そして、わたしたちとこれからの世界について」 ジッとこちらを見つつ、 「我々が四年前に観測した正体不明の情報フレアは、涼宮ハルヒが発生させた次元の変容によるものだったと判断された。そして今、情報統合思念体と存在レベルを等しくする天蓋領域の出現によって、思念体は今までにない変化を迎えている。これは、彼らとコミュニケートする方法を画策していく上で内部の情報が次々と展開され、我々が抱えていた自身の進化の閉塞状況が発展の兆しをみせているということ。それによって現在の思念体は、もしかすると進化の可能性は既に自律的なものにはなく、異なる存在との関わりによって変化をみせるといった世界人仮説の中にあるかもしれないと感じている。わたしの役目はそれの解析に当てられるかも知れない」 「なんでわざわざお前がやる必要があるんだ?」 長門は少し考えるような間を置き、 「思念体には、不確実でまれに裏腹な意味を持つ人間の言葉を理解することが出来ない。が、わたしなら……なんとなく、解りそうな気がするから」 そっか。それはな長門。お前がどんどん人間らしくなってきてるから、感情を含めた人の言葉の意味が分かりだしているって意味なんだと思うぜ。 長門はボーっとしたように、 「そして情報統合思念体は、観測対象を涼宮ハルヒという個体から全人類へと広げ、本来の人間の性質を知るためにこの世界を正しい次元体系に戻し、全ての矛盾を消し去った上で人類の経緯を見守りたいと考えている」 「それ、SOS団や……朝比奈さんはどうなるんだ」 「……主流派の意見では、四年前、世界改変以前の状態から開始する案が濃厚だが、朝比奈みくるやわたしたちの関係性を残存させて現在を改変することも可能。しかし、それはわたしたちの状態が一般的な高校生としての観念に基づいたものへと修正されるのが前提」 ……淡々と話す長門を見て、俺の心はズキリと痛んだ。お前、それじゃ…… ――あの時と、一緒じゃないか。 もちろんそれは拒否する。本来の歴史とやらに後ろめたさがないわけじゃないが、今、この世界が俺たちの現実なんだ。やたらにいじくりまわす方がよほど勝手だと思うね。 それに佐々木と二人で喫茶店に残って話をしてからというもの、俺も過去やらを変えようだなんて思いはしないんだ。あの時の佐々木の言葉は俺たちに指標を与えてくれている。それにな、長門にとっても非常に大切なことも話してたんだぜ。 そう思って拒否の意向を示そうとしたときだった。 「長門さんはこの世界と思念体の提案した世界の……どちらを望むのです?」 古泉に視線を配る長門。考え込むように、 「……わたしには、どちらも選べない」 そうだろうよ。だからあのときこいつは俺に選択権を委ねたんだ。古泉、無粋な質問はするもんじゃないぜ。 俺の視線に古泉は気付かず、 「そう……ですか、そうですね。ですが、思念体が強硬にその変革を推し進めたりしないのでしょうか?」 「多分、ないと思う」 「ほう」と、俺と古泉。長門は俺たちを見回して、 「そう急ぐものでもないから。暫くは現状維持で十分。それに何故か現在彼らは、あなたたちの意見に重要性を見い出している。他の存在に意見を求めるなんて、今までの思念体にはない概念だった。これについては情報統合思念体自身も不思議に思っている」 それは俺たちの行動が結果に直結しているからだろうか? 確かに、俺は以前よりも体裁を構わず行動するようになってきてる。あちらも胡乱なことは言えないんだろうかね。 「なるほど、承知しました。僕の機関側としてはある意味一安心です。それと、現在長門さんの思念体との関係は良好な状態に回復しているんですか?」 一瞬ハッとしたような表情を見せた長門はすぐさま無表情に戻り、 「……わたしはあなたたちに伝えるように命令されただけ。依然としてわたしと思念体との接続は最小限のものになっている。こちらから彼らの情報をダウンロードすることは出来ない」 「それってさ、お前が人間味を帯びてきてるからなのか? それとも、なんか悩みでもあるのか?」 「後者については違うと断言できる」 「そうか。それならいいんだ。とにかく俺はその案には反対だ。こっちの選択肢にはないものとして考えとくように伝えておいてくれ」 長門はゆっくりとした瞬きで返事をし、 「でも、現在の時間連続体による世界構成は非常に不安定。長期の見通しだと、いつ、どんなキッカケで崩壊するか解らない。人間や思念体問わず全世界の未来を紡げなくなる不測の事態が発生した場合のために、宇宙をあるべき姿に戻すという思念体の提案も覚えておいて欲しい」 「ああ。だが、絶対に崩壊させやしない。それも俺たちの役割なんだしさ。自分の選んだ道にしっかり責任は持つよ」 そう言うと、微笑を浮かべた古泉は俺を見ながら、 「ええ。それは僕も同様です。ですが、いずれ次元の状態は元通りにしなければならないでしょうね」 そうだな。だが、それはまだ今じゃないと思う。まだまだカタをつけなきゃならんものが残っているしな。まだ俺たちには考える時間が必要だ。とりあえずそれは保留……って、なんだかどっかで聞いたような会話だな? と思いつつ俺は部室を後にし、朝比奈さん(大)の待つ教室へと向かった。 そして元・一年五組であり俺の一年次の教室の前に着き、俺は扉を開いて中に入る。 瞬間だった。 「――ぐっ」 いきなり腹部に重い衝撃を受け、俺は思わず声を漏らした。前方では教卓の前で大人の朝比奈さんがにこやかな表情をこちらに向け、俺の腹部には――、 「……誰だお前」 「グスッ、先輩……助けてくださぁい……」 かなりの確率で人違いをしているらしいこの少女は、俺に突如として飛びついて助けを求めてきた。 ――なんだ? このクラスの生徒か? しかし、ここは朝比奈さん(大)が指定した場所で間違いないはずだ。現に室内にはグラマラスビューティーな女性がおいでである。 もしかしてこの女の子には彼女の姿が見えていないのだろうか。だったらうかつに朝比奈さん(大)に話しかけられんが……。 「ひぅ、先輩が……みんなが、オカシクなくなっちゃったんですぅ……うう……」 「ちょ、ちょっと待った! 人違いだ!」 顔を俺の胸に埋めつつギュウっと抱きしめてくる少女を振りほどき、俺は驚き顔の少女と顔を見合わせる。 …………この少女、どこかで見覚えが――? なかった。 だが、なんとなく意識の片隅に引っかかるような雰囲気を持っている。風体を見回してみると、この女の子の背丈は長門くらい、体重は長門より軽いだろう。髪質はパーマの後ブローしなかったような癖毛気味、スマイルマークみたいな髪留めを斜めにつけているのが特徴といえば特徴的な記号で、制服のサイズが合っていないのか、どことなくブカブカした着こなしをしている。ちっともこなれていないが。 ……見れば見るほど会ったことはないと感じる。校内で不意に見かけた新入生だろうか。 「もう、先輩だけが頼りなんです……オカシクない先輩たちなんて、オカシイもん……」 いやもう困るしかない。 この少女は明らかに俺を認知した上で話掛けてきているが、俺には先輩という言葉が誰を指しているのか、また、オカシイのかオカシクないのかどっちなのか全く分からない。まあとりあえず身元を聞いてみようと、 「誰だ。まず名を名乗ってくれないか」 「あっ」少女は涙で濡れた顔をグシグシと袖で拭き、「ご挨拶がまだでした。フフ、この世界では始めましてですね。失礼しちゃった。ゴメンナサイです」 「……ん、」 ――なるほど。まだ名前もなにも言われちゃいないが、俺が受ける自己紹介としては非常に解りやすい。 このファーストコンタクトはひどく懐かしく感じられるな。一年程前に宇宙人や未来人や超能力者たちと出会ったときと一緒だ。この世界では始めまして、ってことはつまり……。 ――ついに来たか、異世界人。 藤原の世界人仮説を信じるならば、この世界も異世界と関連性があるんじゃないかというのが以前に話した古泉による異世界人の考察に繋がっている。この少女がどんな世界から来たのか不明だが、そこにも俺はいるらしい。多分SOS団もいるんじゃなかろうかと思うが、一体どんな世界なんだろう。 まあ、まずは俺も一応自己紹介をしておくかと考え、 「つまりキミは異世界人なのか。俺は」 「あ、多分あたしの知ってるキョン先輩と変わらないと思います。フフ。あたしは朝比奈みゆきです。これからよろしくです。しばらくお世話になると思います」 「へ?」 もう驚くこともないだろうと余裕ぶっこいてたら、すぐさま軽いジャブを喰らっちまった。 こいつ、さっき名前なんてった? 朝比奈だって? じゃあ、この少女は俺の朝比奈さんの妹ってところだろうか? 確かに、口調に似通った部分があるが……。 と、俺の脳内で数々の疑問が浮かんでいるときに大人の朝比奈さんがこちらへと近づき、 「キョンくん、驚かせてごめんなさいね。みゆきもいきなり抱きついたりしちゃダメでしょ? あなたは女の子なんだから」 「はぁい」 舌っ足らずな返事をする自称朝比奈みゆき。 てゆーか、どうしたものだろう。出来れば、俺は大人の朝比奈さんと二人っきりで話をしたいのだが。 「あー……」俺は言葉を考えながら美人教師風の女性に「この女の子はどうしたんですか? 何だか誰かがオカシクなったとか言ってますが」 すると少女のほうが頭を振りながら、 「ちがいますよう。SOS団のみんながオカシクなくなっちゃったんです」 まるでSOS団の初期設定が変態であるかのような言い草だ……って、確かに全員デフォルトで変態要素が付属してたっけ。最近唯一まともであった俺までもが怪しくなってきている次第であるが、 「どういうことなんだ?」 つまり、SOS団が普通人の集まりになっちまってると言うのだろうか。 で、俺たちに助けて欲しいと。 うーん、イマイチ話が掴めない。なにをもって助けることになるのだろう。それにSOS団が普通になったってのは……。 ――って、ちょっと待て。それって長門がついさっき話していた現象じゃないか? その異世界の思念体がSOS団、いや、世界をそのように変えちまったのか? いや、だがその世界がどんなものなのかが解らん限りは何も言えんな。 俺が異世界人らしき少女からもう少し詳しく話を聞いてみようかと思っていたら、 「キョンくん、現在とても大変な事態が発生しているの。詳しくはわたしが説明します」 と大人バージョンの朝比奈さんが言い、その後に少女へと笑顔を向け、 「みゆきちゃん、これからお母さんはキョンくんと二人でお話があるから、あなたは先に帰って待っててちょうだいね。もう勝手に遠くに出て行っちゃダメよ?」 「行かないもん」プイッと顔を俺に向け、「じゃああたしは失礼します。それと、あっちの世界の長門おねえちゃんが、解決の鍵は先輩だって言ってました。どうぞよろしくです。またすぐに会いにきますね。フフ」 カラリと笑ってちょろちょろと教室の外に出ていく朝比奈みゆき。 「もう」 それを見送る朝比奈さん(大)が溜息をつき、 「やっぱり子育てって大変ですね。小さい頃はとても素直な子だったのに、あの年頃になってからはわたしの話をロクに聞いてくれないの。この間もね、あの子ったら……あ、」 俺の顔を見て何かに気付いた。そりゃそうだろう。なんせ俺の目と口は点になり、まるで牛飼い座と乙女座と獅子座が織り成す春の大三角形を写しているんだから。当たり前だ。朝比奈さん(大)は普通に話を進めているが、明らかに説明不足だ。 俺は持ってきた質問を投げかける前に、それについて聞いてみた。 「……結婚されてたんですか?」 まさか子供がいるとは。しかもその子が異世界人だとは予想だにしなかった。だが、既婚であったというのは考えてみれば予想出来たはずだよな。不思議と俺のイメージの中にゃ微塵も存在しなかったゆえにモロに面食らっちまった。大体、本当の年齢も知らないんだから結婚がどうとかの話までは回らなかったわけで……。 「うふ。わたしはまだまだ独身ですよ? これ以上のプライベートは……禁則事項です」 口元にひとさし指をつけてウインクを飛ばしてきたが、俺には彼女の言っていることがまったくわからない。 もう呆然とマヌケ面を浮かべるしかなくなっていると、 「あの子の紹介がまだでしたね。うっかりしちゃった。あの子は、長門さんの子供なんです」 パードゥン? 「あ、長門さんから預かった子供って言ったほうがいいかな」 「……は?」 朝比奈さん(大)の話があまりにもぶっ飛んでいたような気がしたのでもう一回言って欲しいとは言ったが、正直二回も聞きたくはなかった。何故かって? 決まってる。 「な、長門の子供!?」 聞き間違いであって欲しかった。 「そうです」 肯定までされちまった。 「あの子は自分では気がついていないかも知れないけど……長門さんたちと同じインターフェイスなんです。あ、それでもわたしはあの子を本当の自分の子供みたいに思っているんですよ? 実際にあの子は、普通にしていれば同年代の女の子と全く変わらないんです」 「……すみません。最初から話して貰えませんか? 俺には、まったく話が読めないんですが」 危うく本題を忘れちまいそうな程にこの教室に来てから色々あった。 まず異世界人との邂逅を果たしたかと思いきや実は朝比奈さんの子供で、しかして本当は長門の子供であり、またさらにその子から異常事態が発生しているSOS団の存在を告げられては、こうして俺の耳から白煙が昇るのも無理はない。このまま話が進めばポンッという小気味良い音と共に思考回路がクラッシュだ。 「じゃあ、まずはあの子の話からしますね。覚えてます? この時間平面からの少し前、長門さんが最初に学校を病気で休んじゃった日のこと」 忘れるわけがない。あれは衝撃だった。実際は風邪でもなかったし、現在進行形で気にかかっている事柄だしな。 「あの日、わたしが家に帰ったら……部屋に赤ちゃんがいたんです。最初に見たときはホントにビックリしたんだから」 「……それは驚くでしょうね」 俺が風呂の蓋をあけたら妹が潜んでたってときですら肝を潰されたってのに、家に見知らぬ赤子が居たらそれこそパニックだ。 「でも、このわたしから見たらそれは必然でした。その赤ちゃんは長門さんがわたしに託した子で、こちらの未来で引き取ってわたしが育てるようになっていたの。そしてさっきの年齢になったら北校に入学させて、SOS団に加わる予定だったんだけど……」 「どうしたんです?」 朝比奈さんは少し困ったような顔を浮かべて、 「ちょっと最近あの子とケンカしちゃって……、みゆきは、わたしが涼宮さんから貰った制服を持って家を飛びだしていっちゃったんです。暫くしても一向に帰って来なかったから必死に探したんだけど、みゆきはどの時間平面にも居なくなってしまってて、もうわたしたちは大騒ぎしました。そうしたら先日ひょっこり帰ってきて、あの子は異世界に飛んでいたっていうのが分かったんです」 「そりゃまた、えらくスケールのでかい家出ですね。って、なんでハルヒから制服を貰ったんですか?」 「詳しくは禁則にあたるので話せませんが、わたしが北校を卒業してしばらくした後、涼宮さんがこれからは北校の制服がコスプレになるからって言って自分のをくれたの。制服ならわたしも当然持ってたんだけど、多分、涼宮さんはわたしともう会えなくなるっていうのを感じてたんじゃないかしら。だから、わたしも自分の制服を彼女にあげて二人で交換したんです。……ふふ、あの日は今でも思い出しちゃう。懐かしいなあ」 ……つまり、それが朝比奈さんとハルヒにとって二人が顔を合わせられる最後の日だったんだろう。俺は朝比奈さんにあげられるものなど無いように思うが、俺もなにか貰えたのかな? 「……へ? き、禁則事項ですっ」 あたふたと顔を真っ赤にしてそう言う大人の朝比奈さん。一体俺と朝比奈さんの別れに何があったんだろうか? とは言いつつも、もしかしたらお別れのキスが待っているのかもしれんなと感じている。俺だって彼女の反応をみてそれくらいの希望的観測は立てられるのさ。 「と、とにかく……ここからが重要なんです」 すぐさま真剣な表情になった彼女は、 「あの子が行ってた異世界というのが……涼宮さんが創造した、この世界を複写した世界だったみたいなの。……わたしも最初は信じられませんでした。だけどあの子の話を聞く限りでは、そうとしか思えません」 息をほんの少し吸い込むと、 「多分、その世界が発生したのは……新学期が始まって最初に行った不思議探索の日のうちだと思います。あの日キョンくんは佐々木さんから電話を貰っていますよね?」 ん、たしか……風呂に入っているときに電話があった気がするな。 そっか。佐々木が他三名を交えて俺と会合したいと申し入れてきたときだ。ええ、ありましたね。 「それはこちらにとっての規定事項だったの。あなたに佐々木さんの能力について知ってもらって、そして、未来人の彼が佐々木さんに話を持ちかけるための」 ……この話を聞いて、くっと俺の眉間にしわが刻まれた。 が、まだ朝比奈さん(大)には話がありそうなので黙って聞くことにしていると、 「ですが、その電話からこちらの世界とその異世界とが違ってきています。あちらの世界では、佐々木さんからの電話がみゆきからの電話に変わってしまっていて、日曜の佐々木さんたちとの話し合いがなくなってしまったんです。そして休み明けの登校日にはSOS団に入団希望の新入生が沢山入ってきたらしくって、みゆきはそこに紛れて涼宮さんの入団テストを受けて最後まで合格して……その世界のSOS団に加わってしまったんです」 ……もしかして、こっちじゃ団員募集の張り紙を貼ったのはいいものの、その意味に誰一人として気付かずに結局秘密のまま幻となったハルヒのあの入団試験のことだろうか? そう。そういうこともあったのだ。ハルヒは新団員を採るためにと頑張って入団試験を作ってたが、その試験をするまでもなく誰一人SOS団の門を叩く輩はなかったんだ。なんせチラシをぱっと見ただけじゃSOS団の入部試験だとは気付けないので、ある意味一次審査で全員が落っこちたってことだ。だから、俺は未開催だった入団試験の内容をよくは知らない。どんな試験があったんだろうか。それに一つ気になるのが、 「ハルヒが作ったあのめちゃくちゃな試験の問題に、よくあの子は合格したもんですね」 そう。ハルヒは試験問題を寝不足にまでなって考えてたとか言っていたが、完成稿にはたった一つの問題しかなく、それを見た俺たちは、ああこいつも本気で新団員を入れる気はなかったんだなと感じたような内容だった。それは何だったかと言えば…… 『SOS団入団試験:我がSOS団に足りないもので、それが加わったらもっと世界が盛り上がると思うものを書きなさい』 という無茶で無理無体な質問だった。俺たち団員なら迷わず異世界人と答えるが、はたして他の人がそう答えたところでハルヒが合格点を出すとは思わない。こんなヘンテコな問題を作った本人の理由としては、「問題を解くだけなら簡単でしょ。あたしが求めてるのは意気込みなの。そのレベルを問うには、自分で答えを作らせるのが最良で、これが出来なきゃダメなのよ。もちろん、採点はあたしの基準に照らしあわせてするけどね。面白かったら合格、そうでないなら残念無念、また来年ってこと」 つまり、あいつが計画していた入団試験は単なる気まぐれで、最終的にこの試験で落っことすつもりだったんだろう。 ……だがしかし、この問題に異世界人・朝比奈みゆきはなんて答えたんだろうか。 そんなことを考えていると、朝比奈さん(大)はなにやらあたりを見回し、誰も居ないことを確認すると、 「あの子は、多分何も知らずに書いたんだと思うけど……」 そう言って、あの少女の答えを教えてくれた。それは……、 『(A)未来からやってきた、魔法を使う宇宙人』 ……なるほどと思ったね。宇宙人と未来人と超能力者を一緒の鍋で煮込んだような答えだ。しかもそれを作ったのは普通人の振りをした異世界人だってんだから、合わせて一人SOS団の出来上がりだな。って、それじゃ団になってないか。とにかく、ハルヒが気に入りそうな回答としては模範に近いだろう。などと頷いていると、 「これ……ズバリあの子のことなんです。本人は気がついていないと思いますが……」 「じゃあ、あの子にも長門たちみたいな力があるんですか?」 「いえ、自分の意思で情報操作を行うまでには至っていません。だけど、インターフェイスとしての本能が無意識のうちに存在している……そうじゃないと考えられない行動をあの子は出来てしまうんです」 「それ、一体どんなことなんですか?」 朝比奈さん(大)は、「それは――」と言葉を溜めて…… 「――TPDDによって、異なる世界を渡ることです」 「……TPDDで、異世界を渡れるんですか?」 朝比奈さん(大)の言葉をそのまま疑問形にした俺の問いに、 「いえ、普通の時間平面破壊装置では不可能です。だって、それによる移動のベクトルは三次元方向にしか向いていないから。そうね……二つの世界を並走する列車で考えてみてください。わたしたち乗客は列車内しか移動出来ないけど、隣の列車に飛び移ることが出来たらもう一つの列車に乗ることが出来るってこと。他にも様々な問題があるんだけど、大体そんな感じ」 それでね、と続けて、 「あの子は時間平面を破壊するデバイスを再構築して、ベクトルの方向を自在に操れるように改造しているみたいなの。これは海洋船を宇宙船に作り変える位とんでもないことなんだけど、完成された理論を有するインターフェイスになら可能だったということです。情報統合思念体はTPDDを使用しないから考えもしなかったんだけど、みゆきによってそれは証明されましたから。これは多分、わたしたちの人間的な教育が彼女になんらかの影響を及ぼしているんだと思うわ」 そのTPDDは宇宙の彼方まで行きそうだなと思いつつ、 「……なんとなく、異世界を渡る能力についてはわかりました。それで、その異世界では何が起こっているんですか?」 俺が聞きたいのはこちらの世界についてだが、流れ上これを聞かないわけにはいかないだろうなという気持ちから出た質問に、 「一言で表すなら……涼宮さんが能力を暴走させているんです。もしかしたら、そうさせるために世界を創造したのかも……」 「それ、勝手に能力が暴走しているのとは違って、ハルヒがそうさせているって話ですか?」 「ええ、恐らくは」 ……俺の中で、雪山で遭難したときの心境がフラッシュバックされた。 あんまりな話だ。それじゃ、その世界の俺たちが浮かばれない。コピーがどうのという話じゃなく、あまりにも利己的で、自分勝手な行動じゃないか。 ハルヒがそれをやっただって? ……正直に言おう、俺には信じられないな。あいつはいつだって自由奔放だが、そんな人の心を弄ぶよう真似をやるわけがない。だから、つまり――、 「お決まりの無意識ってやつでしょう。それなら解る。そりゃ誰にだって抑えようにも抑えられない不可抗力なんだから」 いつだって問題を起こすのはハルヒだが、あいつが悪いわけじゃないんだ。悪いのはあいつに宿っちまった変哲な能力で、言っちまえばハルヒだって被害者みたいなものなのだ。 俺の目の前にいるスレンダーな朝比奈さんは、 「ええ。きっかけはそうだったんだと思います。それでね、その世界でみゆきがSOS団に入った後、こちらの世界でも行われたSOS団と佐々木さんたちとの話し合いがありました。こちらでは長門さんの代わりに喜緑さんが参加していたけど、あちらではみゆき以外の純団員で会合があったみたいです。どんな話だったのか詳細は不明ですが、結果からするとこちらの内容とほぼ同じだったと思われます。そしてその後、橘さんの組織はこちらと同じ事件を起こしたの。でも、その結末もこちらと相違ありませんでした」 意見が平行線のまま終わった、最初のSOS団とあいつらでの話し合いのことか。あの後の橘京子側の策略には俺が一人で疲弊するハメになったが、別に思い返すこともないだろう。その次の日に俺は周防九曜に拉致られて…… 「それが終わって、世界に徐々に変化が現れてきました。えっと、この変化はこちらとの違いとかじゃなくって、そのままの意味で世界がおかしくなっていってるんです。未確認生物や超常現象、それらが世界各地でひっきりなしに発生したんです。その世界のわたしたちには伝聞した情報しか伝わってなくて涼宮さんは信じていなかったけど、実際にそれらは存在していました」 「……ん? 俺が周防九曜にさらわれる事件はなかったんですか?」 朝比奈さん(大)は沈鬱な表情を作り、 「キョンくんが九曜さんにさらわれることはなかったわ。多分、そちらの世界のわたしはひどく慌てたと思います。規定事項が、二つも消えてしまったんだから」 「……規定事項? 二つとは?」 「一つはさっき話した佐々木さんからの電話で、もう一つは、九曜さんの空間に閉じ込められたあなたを未来人の彼が助け出すという行動です」 ……なんか、オカシイぞ。藤原はあれは予定外だったって言ってたじゃないか。だが、あれはこの朝比奈さん側にとって規定事項だったってのか? 「……なんで藤原に俺を助け出させる必要があったんです?」 朝比奈さん(大)は少しもじもじした様子で、 「詳しくは禁則事項ですが……あれがないと、彼らは『あの事件』を起こさないからです。わたしたちにとって、それが起きることこそが大切な規定事項でしたから」 ………俺は言葉を作れなかった。 いま口を開いたら、俺はこの人を糾弾せずにはいられないだろうからだ。 ――あの事件。それは佐々木を巻き込んで、あいつの閉鎖空間に《神獣》を生み出しちまったSOS団と藤原との抗争だ。落ち着いた結果こそ得られたが、それが全部……藤原の行動も含めて、俺の目の前にいるこの女性の未来の、掌の上の出来事だったってのか。気に喰わない。あんたらは俺たちの釈迦であるつもりなのか? 言っとくが、俺たちはいいようにされてばっかりの猿じゃない。それを俺は言いにきたんだぜ、朝比奈さん(大)。 「話を戻しますね」 俺の心が惨憺としてきていることに気付いていないかのような声で、 「ここからは、時間的にこの世界では未来の出来事になります。この世界での今度の日曜日……三日後ですね。あちらの異世界で行われた市内の不思議探索で、SOS団は佐々木さんたちと鉢合わせをします。そして結果だけ言えば、九曜さんを初めとして、彼らとSOS団の正体が涼宮さんにばれてしまうんです」 「ハルヒに……俺たち、いや、古泉や長門、朝比奈さんの正体が……?」 「いえ、わたしたちだけではありません。それに、彼女が一番動揺したのは――」 ……次の言葉に、俺は目を見開いて驚愕の色を表さざるを得なかった。 「――キョンくんが、ジョン・スミスだったこと。それを聞いた涼宮さんは、時空改変能力を発動させて宇宙の姿を変え、情報創造能力によって世界を作り変えてしまったんです」 「……まさか、俺がもしジョン・スミスだとハルヒに名乗っちまえば……世界はそうなるってことなんですか?」 「……恐らくは。これはわたしたち未来人がずっと懸念していたことなんです。涼宮さんが不思議と出会って、それを認めてしまうこと。それが前から話していた強力な分岐点なの。我々はそうなった場合を予測も出来なかったんだけど、みゆきのおかげで今ここに一つの可能性が示されました。この事態はなんとしても回避しなければなりません」 「確かに、その世界は助けなきゃならない。ですが、それがこっちの世界でも起きることはあるんですか?」 「こちらの世界でそれが起きるとは思いません。ですが三日後、この世界がその異世界と同じ時間軸になったとき、こちらの世界はその世界から強力な干渉を受けると推測されます。何故なら、その世界が『立方時間体』によって作られているから」 また妙なワードが出てきた。お願いだからもう勘弁してほしいと言いたいね。 「『立方時間体』による世界を平たく言えば、空間ではなく、世界全体が閉鎖されてしまった世界なんです。今までの閉鎖空間は『紙』単位で閉鎖されていたんだけど、今回は『本』として閉じられたってこと」 「……それが、なんでこっちの世界に影響を?」 「閉鎖されてしまった世界には、それ以後の未来が存在しません。なのであちら側の世界はこちらの世界と同期を図り、歴史をこちら側の世界の未来で進行させようとすると予測されています。こちらの世界の体系が『平方時間体』から『立方時間体』に変化することはありませんが、STCデータ……つまり世界の内容は同じものになってしまうの」 「じゃあ……こっちの世界の俺たちも記憶をなくしちまうんですね」 「はい。ですが、それどころの騒ぎではありません。そのまま未来を放っておけば、近い将来に地球がなくなってしまうんです」 地球壊滅の危機らしいので厳粛に話を聞いていると、 「こちらの世界は『平方時間体』で出来ていますから、涼宮さんの情報創造能力は消えません。そして、異世界での出来事を思い出してみてください。新しい団員、超常現象の発生、そして……宇宙人や未来人、超能力者や異世界人と涼宮さんの邂逅を」 ……つまり、その世界ではハルヒの願望がことごとく叶っているってことか。 「でも、なんで地球がなくなるですか? ハルヒはそんなことを願いはしない」 「いいえ。本人にその気はなかったとしても、彼女は願ってしまっています。そして、地球が壊滅してしまうのは……早くて約十六年後、長くて約二十五年後です。涼宮さんが織姫と彦星のどちらに願いを唱えたかによって変わりますね」 「………………………」 やたら長い三点リーダは、俺が過去の記憶を検索しているためだ。 「……ハルヒ。やっぱり、アホな願いはするもんじゃないぜ……」 これは検索結果への俺の感想だ。なにが導き出されたかというと――――、 『世界があたしを中心にまわるようにせよ』 『地球の自転を逆回転にして欲しい』 ハルヒが去年の七夕で笹に吊るした願い事の、後者の方だ。フライングですでに一つ願いが叶ってるじゃねえか。もう自重してもいいだろう。とは誰に言えばいいんだろうね? だが、もとよりそんなことを言ってる場合じゃない。 「根本的な質問なんですが、その世界を助けるにはどうすれば良いんですか?」 朝比奈さんは少し沈み込んだように、 「それは……長門さんに聞いてみないといけません」 「長門に? ……ですが、さっきまでのあいつはそんなこと微塵も言ってませんでしたよ? そんな重大な事態が起こっているんなら、あいつがそれを俺に言わない筈がない」 「うん。だって現在の彼女はこの事態を知りませんから。だけど、情報統合思念体は知っているはずなんです。世界が二つに分かれてしまった瞬間から、私よりも詳細に全ての出来事を。世界がアニメや漫画だとするなら、思念体はそれを別の所で認識する視聴者のようなものですから」 確かに長門と思念体には不仲説が流れてるし、あいつも思念体の情報をダウンロード出来ないって言ってたな。 「じゃあ、喜緑さんに聞いてみましょうか? 今なら教えてくれそうだし」 「いえ、それは望めません。彼女は最初からこの現象を把握していましたし、第一、観察が目的の思念体としては現状のままで困ることはないんです。地球が滅んだとしても、もとより彼らにとっては些細な出来事でしかありませんから」 ぬ……。思念体にとっても、なんやかんやする俺たちより大人しい俺たちのほうが良いだろうしな。人間の観察も、ハルヒの能力がありゃどうとでもなる。 じゃあ、俺たちが黙ってても世界は思念体の望みどおりになっちまうところだったってことじゃねえか。……くそ、思念体もこの朝比奈さんも、親玉クラスのやつらは信用できやしない。今じゃ、よっぽど藤原のヤツの方が好印象のように感じるね。どっちにしろ不愉快だ。 「それにあちらの世界は閉鎖されているので、こちらの思念体は観察こそすれ干渉は出来ないんです。今のみゆきも、TPDDであちらに向かうことは出来ません。あの世界には、無限のエネルギーがありませんから」 どうしようもないじゃないか。……でも、 「だったら、その異世界がそうなっちまう前の時間に遡行して、それを防げばいいんじゃ?」 「今となってはもう不可能です。それに、今日わたしがここにみゆきを連れてくるのは元々規定事項として存在していたの。だから、もしかしたらその異世界の発生も必然だったのかも。わたしが何も聞かされていなかっただけで」 「へ? それを教えるために来たんじゃないんですか? じゃあ、ここに来た本来の目的は?」 「長門さんに関わる規定事項を実行してもらうためです。えっと、既に今、古泉くんも長門さんもあなたに協力的ですよね?」 ああ。あいつらの上がどうであれ、俺たちはちゃんと信頼し合っている。ここにくるまで長かったような短かったような気がするが、石炭がダイヤに変化する程の時間はかからなかったし、SOS団はそれ以上のモンに成形されていると自負するね。 「ふふ、良かった」 大人の朝比奈さんは不意打ち気味に秀麗な笑顔を作り、 「この規定事項が上手くいけば、多分その異世界の異常も正しく修正できるようになると思います。今こそSOS団の皆が力を合わせて行動するときなの。みゆきも含めてね」 ……ってことは、ある程度のオチがここでつくってわけか。ようやくだ。 「わかりました。その規定事項ってのは何なんですか」 「実行するのは明日なんだけど、内容はキョンくんが過去の空白を埋めること。それがなければ、現在のわたしたちが存在していませんから」 「は?」 ……過去の空白、そんなんあったか? 「あります。とても重要な……《あの日》の中に。明日キョンくんには、長門さんが世界を改変した瞬間に再度飛んで貰うことになります。今度は、前回と違う結末で終わらせなければなりません」 ……意気込むまでもなかったな。これにはwhatと言わざるを得ない。 「――なんで……」思った以上にうろたえていたことに気付きながら、「あの日は……既に、終わってるじゃないか。だから今があるんだ。その過去を変えちまったら、この現在は……」 ――ちょっと待てよ。 そうだ、今が変わっちまう。現在の俺たちがいなくなってしまうんだ。何故、この人はそんなことを俺にさせようとする? まさか俺が……古泉だってそうだが、大人の朝比奈さんに懐疑的だからか? だから歴史をやり直そうってんじゃないだろうな。自分の存在が脅かされる前に先手を打っておこうってハラなのか? 「いえ、あれは繰り返された時間を作るために……」 「ちょっと待ってください」 このまま朝比奈さん(大)の話を聞くのは危険だ。丸め込まれちまう可能性がある。 「その前に聞いておきたいことがあるんだ。俺があの山で拾った棒のことです。なんであれの存在を俺たちに黙ってたんですか?」 「あれは過去のわたしが知るにはまだ早かったの。知らなければ、こちらがウソをつかないで済みますから」 ニコヤカにUFOの存在を大統領に教える秘書のような台詞を吐き、 「それに、あなたが後でそれを拾うのも規定事項として出ていましたので」 「…………」湧き上がる黒い情動を抑えつつ、「もう一つ。藤原のことなんですが、あいつから聞いた話は本当なんですか?」 「ええ。彼の話した理論は偽りのない真実です。ですが……」 ――もう、わかった。 「え?」 目を丸くする朝比奈さん(大)に、 「あなたの話については間違いがあるってことでしょう?」 「……そうですけど、これはちゃんと説明しないと……」 「もう聞きたくないですね」俺は続けざまに「俺が今日聞きたかったのは、俺があなたの未来からやらされている行動は正しいのかどうかってことだった。そして、藤原はあなたたちを虚像の未来だと言った。それを丸々信じ込んじゃいなかったが、あんたがこれから俺にやらそうとしていることはおかしいじゃないか。もともと、過去を変えるってのはタブーなはずだ。けど、そうさせる理由は説明が付く。あんたは、今の俺たちが邪魔なんだ。だから歴史を変えて、俺たちがもっと未来に従順な犬の場合の現在をつくろうとでもしているんだろ。俺が今一番聞きたいのは……あなたたちは、一体何者なんだ?」 「……わたしたちはこの歴史の先の未来です。そして藤原さんの未来は、実はわたしの未来より少し先の地続きの未来なんです。まだ詳しくは禁則なので言えませんが……。それでね、彼らには今までの行動をして貰うために、彼の過去であるわたしの時間平面で組織内の情報を調整していたんです。実は規定事項は記述統計学に基づいて立てられるものではなくて、世界の遺伝子と呼べるものを分析したものなの。その遺伝子の中からわたしたちの行動が影響しているものを見つけ出して、その通りに時間を調整するのが未来人の仕事」 「そんなことはどうだっていいんだ。あなたは佐々木を巻き込んだ事件も、長門の事件のときだって規定事項だって言ってましたよね。それはつまり、そっちの未来を導くためにあんたらが仕組んだことなんじゃないのか。正しい未来ってのは、一体なんなんですか?」 「……未来に、正しいも間違いもありません。向かってくるものを受け入れながら、進んでいった結果が未来に繋がるんです。これは藤原さんの話を聞いていたときに、キョンくんがわたしに言ってくれたことでしょう?」 ……ああ。そうだった。だから、俺がこれからやることに文句はなしにしてもらいますよ? 「ええ。俺たちは自分で未来を作っていく。だから、俺はもうあの時間には行きません。これでいいんですよね?」 「……それでは、これを受け取ってください」 と言いながら、さして慌てた風でもない朝比奈さん(大)は俺に封筒を差し出してきたが、俺はそんな彼女を見て……、 「……もういい加減にしてくれ。その手紙は何なんだ? 俺の答えがわかってたとでも言うんですか?」 「そ、それは……」 ――もう、我慢の限界だ。 「俺は、あんたらのあやつり人形じゃないんだよ! ……もう踊らされるのはごめんだ。大体、あんたらは人の気持ちをなんだと思ってやがる。あの小さな朝比奈さんだってそうだ。長門も、佐々木もだ。そのに、あの日に戻れだって? もう長門にあんな光景は見せたくないし、俺も二度と見たくはない。そっちの未来にいいように振り回されてちゃあ迷惑だ。だからこれからは、俺たちは自分で未来を切り開いて行く。あんたの命令なんか聞かずに、俺たちが信じた未来をね。その異世界だって俺たちが自力で救ってみせるさ。なんせ、どのみち動くのは俺たちなんだから」 「待って! またあの過去に行くのは……長門さんのためなの! 今は行きたくないのなら、お願いだから、この手紙だけは――」 「……要らないって言ってるじゃないですか。俺も、もうあなたと話すことはないんです。色んな意味でね。じゃあ、俺はこれで失礼します」 戸惑いながら必死に俺へとうったえ続ける彼女を尻目に、俺は踵を返して教室の外へと向かった。 「――あの場所で、待っていますから……!」 待ちたいなら好きなだけ待っていればいいさ。だが……。 もし俺がそこに行くとしても、俺の朝比奈さんも一緒に連れて行く。いや、SOS団の全員で。だ。 第五章
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【 YouTubeアニメ無料動画@Wiki >涼宮ハルヒの憂鬱>涼宮ハルヒの受難】 涼宮ハルヒの受難 お気に入りに追加する bookmark_hatena このページは YouTube ,veoh,MEGAなどで視聴できる涼宮ハルヒの受難の 無料 動画 を紹介しています。 更新状況 更新履歴を必要最低限にわかりやすくまとめたものです。 【広告】あの部長のドメインが、ワタシのより可愛いなんて・・・・。 【最新】ぬらりひょんの孫:アニメ動画3本追加しました!(9/23) 【今更】刀語:アニメ最新話追加しました!(9/23) 【最新】けいおん!!:アニメ動画3本追加しました!(9/23) 【最新】屍鬼:アニメ動画2本追加しました!(9/23) 【最新】ストライクウィッチーズ2:アニメ動画3本追加しました!(9/23) 【ソノ他】動画ページ上部に「お知らせ」を追加しました!(9/23) 【過去】とらドラ!:アニメ動画10本追加しました!(9/5) 【最新】生徒会役員共:アニメ最新話追加しました!(9/5) 【最新】屍鬼:アニメ最新話追加しました!(9/5) 【最新】黒執事II:アニメ最新話追加しました!(9/5) 【最新】伝説の勇者の伝説:アニメ最新話追加しました!(9/5) 【最新】オオカミさんと七人の仲間たち:アニメ最新話追加しました!(9/5) 【最新】ストライクウィッチーズ2:アニメ最新話追加しました!(9/5) 【最新】けいおん!!:アニメ最新話追加しました!(9/3) 【最新】ぬらりひょんの孫:アニメ最新話追加しました!(9/3) 【最新】世紀末オカルト学院:アニメ最新話追加しました!(9/3) 【最新】学園黙示録:アニメ最新話追加しました!(9/2) 【最新】みつどもえ:アニメ最新話追加しました!(8/30) 【最新】生徒会役員共:アニメ最新話追加しました!(8/30) 【最新】屍鬼:アニメ最新話追加しました!(8/28) 【最新】黒執事II:アニメ最新話追加しました!(8/28) 【最新】伝説の勇者の伝説:アニメ最新話追加しました!(8/28) 【最新】オオカミさんと七人の仲間たち:アニメ最新話追加しました!(8/28) 【最新】ストライクウィッチーズ2:アニメ最新話追加しました!(8/26) 【最新】けいおん!!:アニメ最新話追加しました!(8/25) 【最新】殿といっしょ:アニメ動画3本追加しました!(8/25) 【最新】ぬらりひょんの孫:アニメ最新話追加しました!(8/25) 【最新】世紀末オカルト学院:アニメ最新話追加しました!(8/25) 【最新】学園黙示録:アニメ最新話追加しました!(8/25) 【最新】生徒会役員共:アニメ最新話追加しました!(8/25) 【最新】みつどもえ:アニメ最新話追加しました!(8/25) 【最新】屍鬼:アニメ最新話追加しました!(8/21) 【最新】黒執事II:アニメ最新話追加しました!(8/21) 【最新】伝説の勇者の伝説:アニメ最新話追加しました!(8/21) 【最新】オオカミさんと七人の仲間たち:アニメ最新話追加しました!(8/21) 【最新】ストライクウィッチーズ2:アニメ最新話追加しました!(8/21) 【最新】けいおん!!:アニメ最新話追加しました!(8/18) 【最新】ぬらりひょんの孫:アニメ最新話追加しました!(8/18) 【最新】世紀末オカルト学院:アニメ最新話追加しました!(8/18) 【最新】学園黙示録:アニメ最新話追加しました!(8/18) 【修正】デュラララ!!:第7話を視聴可能な動画に更新しました!(8/16) 【今更】刀語:アニメ最新話追加しました!(8/16) 【最新】生徒会役員共:アニメ最新話追加しました!(8/15) 【最新】みつどもえ:アニメ最新話追加しました!(8/14) 【過去】とらドラ!:アニメ動画5本追加しました!(8/14) 【最新】屍鬼:アニメ最新話追加しました!(8/14) 【最新】黒執事II:アニメ最新話追加しました!(8/14) 【最新】伝説の勇者の伝説:アニメ最新話追加しました!(8/14) 【最新】オオカミさんと七人の仲間たち:アニメ最新話追加しました!(8/14) 【最新】ストライクウィッチーズ2:アニメ最新話追加しました!(8/12) 【ソノ他】70万ヒット達成!ありがとうございますヽ(´∀`)ノ(8/11) 【最新】けいおん!!:アニメ最新話追加しました!(8/11) 【過去】とらドラ!:アニメ動画10本追加しました!(8/11) 【最新】ぬらりひょんの孫:アニメ最新話追加しました!(8/10) 【最新】世紀末オカルト学院:アニメ最新話追加しました!(8/10) 【最新】学園黙示録:アニメ最新話追加しました!(8/10) 【関連】殿といっしょ:MAD動画等7本追加しました!(8/10) 【最新】殿といっしょ:アニメ動画2本追加しました!(8/10) 【過去】こばと。:アニメ動画全話追加し終えました!(8/9) 【最新】生徒会役員共:アニメ最新話追加しました!(8/8) 【最新】みつどもえ:アニメ最新話追加しました!(8/8) 【最新】屍鬼:アニメ最新話追加しました!(8/7) 【最新】黒執事II:アニメ最新話追加しました!(8/7) 【最新】伝説の勇者の伝説:アニメ最新話追加しました!(8/7) 【最新】オオカミさんと七人の仲間たち:アニメ最新話追加しました!(8/7) 【最新】ストライクウィッチーズ2:アニメ最新話追加しました!(8/7) 【最新】けいおん!!:アニメ最新話追加しました!(8/6) 【最新】ぬらりひょんの孫:アニメ最新話追加しました!(8/3) 【最新】世紀末オカルト学院:アニメ最新話追加しました!(8/3) 【最新】学園黙示録:アニメ最新話追加しました!(8/3) お知らせ↓追加しました!(9/23) 最近、更新が停滞していて本当にごめんなさい。管理人の都合で、またしばらくサイトの更新ができなくなります。えっと、都合というのはちょっとした国家試験なんです。もっと早く勉強を始めていれば・・・と後悔が募るばかりですが、この度、生まれて初めて(!)本気を出そうと思います。もうすでに遅いような気もしますが、ネットするのを我慢して、自分なりに頑張ってみようと思ってます。たまに更新することもあるかもしれませんが、その時は勉強サボってるなあと思ってください(^^;) 更新は10月下旬頃に再開する予定です。怠け者でダメ人間な管理人ですが、これからも生温かい目で見守ってくれるとうれしいです(*´□`*)♪ ※実はこっそり隠れてツイッターもやっています。あまり見られたくないですが、もし見つけたらリプくれると喜びます! 当サイトについて 動画は最近放送されたアニメを中心に( ´∀`)マターリ紹介しています。管理人の気まぐれや人気記事ランキング、リクエストなどを参照して過去のアニメも更新してます。最近はニコ動などのMAD動画やYouTubeなどにあるOP&EDもバリバリ更新!事前に動画共有サイトから埋め込みタグを取得しているので、他サイトに移動する必要はありません。再生マークをポチっとするだけでOK.゚(*´∀`)b゚+.゚ veoh アニメ動画専用。再生マークを一回押したら見れます。削除されている場合も結構あります。30分以上だと5分間しか見れませんが、ほとんどのアニメは30分以内なので全部見れます。→ Ranking MEGA アニメ動画専用。再生マーク赤をポチっとしたら、広告といっしょにもう一度表示されるので、再生マーク緑をクリックすると再生できます。あまり削除されません。72分間連続視聴すると動画が見れなくなりますので、その場合は54分空けてから見て下さい。また通常は1日に10本までしか見れません。→ Ranking YouTube アニメ動画やMAD動画など。再生マークを一回押したら見れます。アニメ動画の場合は削除されることが多々あります。MAD動画の場合はなるべくコメント付きのニコニコ動画で見ることをお勧めします。YouTubeだけで紹介(そんな時期がありました…)しているアニメ動画のページは、かなり削除済み多数です(*_ _)人ゴメンナサイ。全部はとても対応できそうにないので、どうしても見たい動画は【リクエスト】してください。→ Ranking ニコニコ動画 MAD動画など。再生マークを一回押したら見れます。削除されている場合もたまにあります。通常は登録しないと見れませんが、埋め込みなのでログイン不要です。コメントに慣れてない人は右下の吹き出しマークをクリックして非表示にしてみてください。広告は×を押して消して下さい。→ Ranking コメントについて↓一部更新しました!(9/23) いつもたくさんのコメントありがとうございます!遅くなる事もありますが、すべて読ませてもらってます♪ 少し注意事項です。動画ページには各ページ中部に感想を書くためのコメント欄がありますが、最近そのコメント欄に「動画が見れない」などのコメントが目立ちます。そのような視聴不可報告は【リクエスト・視聴不可・不具合報告】にコメントしてください。それ以外のページの視聴不可報告は見落としてしまって対応できないことがあります。ご協力よろしくお願いします。 上の注意事項は一部の方です。みんなの感想や応援のコメントには本当に感謝しています!励まされます!アリガトウ(●´∀`●)ノ 見れない時は… veohとMEGAの両方とも削除済みで見れない時は【視聴不可報告】にコメントして頂けると助かります。 動画の視聴に便利なサイト ■GOM PLAYER:MP4やFLV動画の再生ソフトです。DVD,AVIなどの再生にも対応しています。 ■GOM ENCODER :対応ファイル形式が豊富なカンタン高速動画変換ソフトです。PSP/iPod/iPhone/WALKMANなどに対応。 ■バンディカム:CPUの占有率が低く、キャプチャー中でもゲームがカクカクしません。無料動画キャプチャーソフトの新定番です。 動画を見る前or後に押してくれるとうれしいですd(≧▽≦*d) ニコニコ動画 このページのタグ YouTube アニメ 無料 動画MAD 涼宮ハルヒの憂鬱 涼宮ハルヒの憂鬱 受難シリーズ 涼宮ハルヒMAD 古泉一樹 初回コメ非表示推奨 第2回ニコニコ紅白MAD合戦「白組」 suzuka もっと評価されるべき コメント(感想) 動画涼宮ハルヒの受難に関するコメントを気軽に書いてください♪ 名前 クリック単価、広告の種類、管理画面の使いやすさなど総合的に判断しても1番オススメです(●`・v・) 今日の人気ページランキング にゃんこい! 第4話「美しい人」 おまもりひまり 第2話「海ねこスクランブル」 クレヨンしんちゃん シロをレンタルするゾ 昨日の人気ページランキング 荒川アンダーザブリッジ OP「ヴィーナスとジーザス」Full らき☆すた 第14話「ひとつ屋根の下」 【マイムマイム】マサオミマイム【紀田正臣】 君に届け 第13話「恋」 屍鬼 コメント/ひだまりスケッチ×365 第11話「9月28日 パンツの怪」 デュラララ!!ラジオ 略して デュララジ!! 第1回 デュラララ!! 公式パーフェクトガイド けいおん!の歌のシーンを集めてみた
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涼宮ハルヒの直列 【すずみやはるひのちょくれつ】 ジャンル 非日常直列アドベンチャー 対応機種 ニンテンドーDS メディア DSカード 発売元 セガ 開発元 AQ インタラクティブ 発売日 2009年5月28日 定価 5,040円(税込) プレイ人数 1人 レーティング CERO A(全年齢対象) セーブデータ 3個 判定 なし ポイント 並列の前日憚ADVとパズルの融合膨大なパターンのサブイベント 涼宮ハルヒシリーズ 概要 システム ADVパート パズルパート(解決パート) その他 評価点 賛否両論点 問題点 総評 余談 概要 SF・学園ものをテーマにした角川スニーカー文庫のライトノベル『涼宮ハルヒシリーズ』を原作とするアドベンチャーゲーム。 涼宮ハルヒが怪奇現象に出会うために合宿を開く、というのが本作のあらすじ。原作にはないゲームオリジナルストーリーである。時系列としては同時期に発売されたゲーム『涼宮ハルヒの並列』より少し前の話である模様。 同名のタイトルでアニメ化されており、本作はアニメをベースとしたグラフィックで構成されている。 ADVゲームとマインスイーパーを髣髴とさせるパズルゲームが融合したシステムが特徴。 ADVパートでの主人公(キョン)の行いに応じて、パズルゲームパートの難易度が左右されるという形式を取る。 システム 5章仕立て。EPISODE1~5を最後まで読み進めると本作は一応クリアしたこととなる。 概要の通り、大きく分けてADVパートとパズルパートに分けられる。 ADVパート ハルヒを除くSOS団員に対して、役割を指示する所から始まる。具体的にはハルヒに同行する係、裏で情報収集する係等を割り振る。 割り振った後は、プレイヤーはキョンの視点で行動することとなる。 キョンと同じ係に任命されたキャラクターは、ADVパート中の会話に介入することとなる。 パズルパート(解決パート) ハルヒが知らず知らずのうちに作り出した異空間を消し去るという内容。諸事情によりハルヒに異空間を目撃されてはいけない。 解決パートの流れ 鳥瞰図で描かれた正方形マップ上で異空間(怪奇現象)に遭遇しているキャラを操作。異空間の根源である「特異点」を見つけ出しモップ(*1)で掃き消す。 キャラにとらせられる行動は移動、範囲調査、ポイント調査、モップの4種類。いずれもタッチペンで行う。 遠くの正方形をタッチペンで触るとそこに向かってキャラが歩いて移動する。 立っている場所をタッチすると「立っている場所1マス」+「周囲の8マス」=計9マスを分析し、そこに特異点が有るか無いか判断する。具体的には特異点が近くにあると「!」が浮かび上がる。複数あれば「!!」になったりする。 発見しただけでは消すことが出来ず、消す前に実体化させなくてはならない。調査アイコンがONの状態(DS下画面左上の虫眼鏡が輝いている状態)で、今たっている場所およびその周囲の9マスのどれかをタッチすると、タッチしたポイントを詳しく分析。この工程でようやく特異点を実体化できる。 ポイント調査を行って特異点を実体化させる。実体化させた特異点はマップ上に画鋲といったアイコンで表示されるようになり、タッチペンでこすり続けることでようやく消すことが出来る。 全ての特異点を消すか、ハルヒが異空間に気づいてしまう時点にてノルマの数だけ消去していればクリア。 ハルヒメーター ハルヒメーターは、ハルヒが超常現象に対してどれほど興味を"失っているか”を0~100%で示すメーター。ハルヒメーターが低い(超常現象に興味がある状態)だと、解決パート時の制限時間が減ってしまう。 ハルヒが飛びつきそうな関係のない話題を振ったり(会話選択肢による)、ハルヒを単独行動させずキョンを同伴させることで、ハルヒメーターの低下を防ぐことが出来る。 制限時間のゲージ ハルヒがどれだけ異空間に迫ってきているかは画面上のゲージで大まかに表示される。 ハルヒがゲージ中の特定のところまで進むと「イベント」「アクシデント」が発生(トピックにて詳細を後述)。残り制限時間が変動する。 トピック 解決パート時、制限時間を底上げする、または解決パートの難易度を低下させるためのアイテム。 キャラを特定の組み合わせで役割分担させたり、ADV中に特定の選択肢を選ぶことで入手可能。 解決パートで起こる「イベント」では、ハルヒと同行しているメンバーが時間稼ぎし、残り制限時間の底上げをする。具体的には異空間に迫るハルヒに対して同伴するキャラが気をそらすような話題を振るイベントが挿入される。 「アクシデント」では、ハルヒが異空間に興味を持つようなイベントが発生。ペナルティとして残り制限時間が大幅に減少する。対応したトピックを所有していることで追加のイベントが発生して時間減少効果を不発にできる。 セーブ セーブスロット数は3つ、"詰み"を回避するため、一度に3つすべてのスロットにセーブ出来ないように措置がなされている。 EPISODEクリア時、解決パート突入時のタイミングでスロット1かスロット2にセーブ可能。 テキストを読んでいるときの中断セーブではスロット3が使われる。 その他 EXTRA EPISODE1クリア時に特典コーナーを閲覧可能になる。本作で遭遇したイベントスチル、BGMを閲覧・視聴できる。 EPISODE4クリア時にミニゲームとして「詰めチェス」も盛り込まれる。詰めチェスの問題には、プロの監修が入っており経験者にもなかなか歯ごたえのある難易度となる。 評価点 原作の世界観をきちんと守っている キャラクターの言動は原作と特に矛盾がない。 怪現象を目の当たりにしたくて猪突猛進するハルヒ、怪現象を難解な言葉でキョンに解説する長門、怪現象を理解した上で達観している古泉、おびえ要因兼マスコットのみくるはいつもどおりである。 移り気がちなハルヒの奇行はADV中では、上手に「アクシデント」というお邪魔イベントとして再現されている。 アニメーション演出 アニメ版とはまた別の本作オリジナルのOPテーマが挿入されている。アニメーションもある。 原作アニメ準拠のイベントスチルが多数挟まれる。立ち絵もアニメ版準拠であり、キャラクターの感情にあわせて細かく動いてくれる。 賛否両論点 ADVとPZLというジャンルを両立している ゲーム中に2ジャンル遊べるだけにとどまらず、ADVでの行いがPZLの難易度に影響する。ゲームとしては間違いなく奇抜な試みといえる。 その代わり、シナリオはほぼ1本道であり、ADVと考えると物足りない。PZLでゲームソフトの要領を食われたといわざるを得ない。 原作の知識が必要 主要人物に関して、性格や特殊能力などをひととおり説明はしてくれるのだが、それ以外の細かい原作ネタまではあまりゲーム中で説明されない。 本ゲームの物語よりも前の時系列に起きた出来事等はゲーム中では詳しく説明されないし、出来事を知っている前提でゲームのお話が進む。 シナリオの世界観が薄っぺらくはならないが、原作未読層にはやさしいとはいえない。 シナリオのパターンが非常に多い ADVパートではキョンと誰を共に行動させるか、キョンを現地調査に行かせるか、裏方の準備をさせるかによって、見られる会話が多種多様に変化する。 パターンが多いことはADVとしては長所といえるのだが、本筋のシナリオにはほとんど影響しない。網羅するためには何度も周回して、変化しない本筋のシナリオを何度も見返すこととなる。 問題点 体感的なボリュームが多いとはいえない 物語は5話分しかない。内容も学校の七不思議を1話ごとに1つ解決していくような流れなので、若干作業的に感じられる。 何周もさせていろいろな分岐、イベントを見ていく構造となっているが、大筋の物語はほぼ変化しない。 ハルヒメーターの増減がほぼ不規則 ADVパート中に選択肢が発生することがあるが、どれかの選択肢を選んだ直後に、変動するわけではない。ひとつのルート中でも球に上がったり下がったりするためハルヒメーターの増減を予測することはほぼ不可能。 一応ハルヒとキョンを一緒に行動させれば、ハルヒメーターを高く維持できる傾向にはある。 話が小難しい もっともこれは原作らしさでもある。主人公たちが怪奇現象に遭遇する、それをハイレベルの科学目線で説明する、といった流れがあり、こういったところを楽しめないと本作をプレイする上での障害となりうる。 「真贋」や「邁進」といった日常会話ではまず登場しないような単語も振り仮名なしでテキストに組み込まれる。 正体不明の少女 本作はWiiの『涼宮ハルヒの並列』の前日憚にあたり、並列に出てくるキャラクターである白い帽子の少女が登場するシーンがある。 並列をプレイしないと少女の正体がわからず、本作だけでは、「作中で起こるトラブルに絡んでいるかもしれない…」といった情報しか出ていない状態でシナリオが完結してしまう。 もっとも彼女について分からなかったところで、シナリオの本筋が意味不明になることはないため、そこは安心されたし。 総評 ADVとPZLを混合した異色のゲーム。ADVが割を食った感は否めないが、ADVに影響を受け二転三点するパズルはゲームの中でも独特な特徴を持っている。 シナリオは基本的に原作の知識を持ってプレイすることが望ましいため、ファン向けの属性が強い。 余談 当初は『涼宮ハルヒの並列』と同時発売の予定だったが、本作だけ発売時期が遅くなっている。
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一体、何がどうなっているのか。 この状況下を理解できている奴がいるならとっとと俺の前に来てくれ。すぐには殴らないから安心しろ。 洗いざらい聞き出してからやるけどな。理解できるのは首謀者以外ありえないからな。 『一度しか言わないので、聞き逃さないようにしてください』 そう体育館内に聞き覚えのない声が響き渡る。 まず、状況を説明しよう。俺たちは今体育館にいる。外は薄暗く、窓から注がれる月明かりしか体育館内を照らすものがないが、 それで体育館内の壁に立て掛けられている時計の時間がかろうじて確認できた。1時だそうだ。午後ではなく午前の。 体育館内には北高生徒が多数いた。皆不安そうな表情を見せつつも、パニックを起こすまでには至っていない。 何でそうなる可能性を指摘しているのかと言えば、俺たちがどうしてこんな夜中に体育館にいるのかがさっぱりわからないからだ。 俺は確かベッドに潜り込んで寝たはずだ。次の瞬間、気が付いたら体育館の中と来ている。 夢遊病でも制服まで着込んでこんな遠くまでくるなんてありえないし、大体これだけの大人数が突然夢遊病に かかって同じ場所に集結するなんて絶対にあり得ないと断言できる。ならば、これは何者かがしくんだ陰謀と見るべきだろうな。 それも、普通の人間の仕業ではなく、いつぞやの雪山で起きた建物に俺たちを閉じこめてレベルの連中が仕掛けたのだろう。 俺もここまで冷静な思考ができるようになっていたとはうれしいよ。 『ルールは簡単です。今から3日間、あなた達が生き残れば何もかも元通りになります。しかし、全員死んでしまった場合、 この状況が現実になってしまいます。ようは一人でも生き残れば、例えその他の人が死んでもそれはなかったことになり、 一人も残れなかった場合は全員死んだままになると言うことです。あと助けを求めようとしても無駄です。 現在、この空間にはこの施設内以外には人間は一人も存在していません。電話も通じません』 一方的すぎる上に訳がわからん。どうしてこんなことになってしまったのか。前日を思い出してみるか。 ◇◇◇◇ 季節は春。3学期も半ばにさしかかり、残すイベントは球技大会ぐらいになっていた。 俺たちはいつも通りにSOS団が占領下においている部室に集まって何気ない日常を送っていた。 放課後になって、朝比奈さんのお茶をすすりつつ、古泉とボードゲームに興じる。 ワンパターンと言ってしまえばそれまでだが、平穏であることを否定する必要もない。 「おい、ハルヒ」 相変わらず激弱な古泉をオセロで一蹴したタイミングで、俺はあることを思い出してハルヒを呼んだ。 退屈そうにネットをカチカチやっていたハルヒは、 「なーに?」 「今度、球技大会があるだろ? おまえも参加しろよな」 「いやよ、めんどくさい」 とまあつれない返事を返されてしまった。ちなみにこうやって参加を促しているのは、 別にスーパーユーティリティプレイヤー・ハルヒを参加させてクラスに貢献!なんて考えているわけではなく、 クラスメイトの阪中からハルヒを誘ってほしいと言われたからである。 最初は戦力としてほしいから言っているんだろうと思ったが、もじもじしている阪中を見ていると どうも別の理由があるらしい。ま、いちいち他人のことに口を出してもしょうがないし、 阪中自身が言いづらいから俺のところに頼みに来ているのだろうから、快く引き受けておいたがね。 「おまえな……たまにはクラス行事に参加しろよ。いつまでも腫れ物扱い状態で良いのか?」 「べっつに構わないわよ。気にしないし。大体、球技大会ってバレーボールじゃない。そんなありきたりのものに 参加したっておもしろくもないじゃん。南アルプスでビッグフット狩り競争!ってのなら、喜んで参加するわよ」 「そんな行事に参加するのはお前くらいだ。おまけに球技大会ですらねえよ」 俺のツッコミも無視して、良いこと思いついたという感じにあごをなでるハルヒ。 このままだと春休みにはアルプスに連れて行かれかねないな。 「あー、でも一般客も見に来たりするんだっけ? それなら、クラスじゃなくてSOS団としてなら参加して良いわよ。 いいアピールにもなるしね。ユニフォームのデザインはまっかせなさい!」 「勝手に変な方向に話を進めるな!」 俺の脳裏に、開会式にSOS団が殴り込みを掛ける映像が再生される。それも全員がハルヒサナダムシ風ユニフォームを着込んで いや、朝比奈さんだけは別か。何を着せられるのやら。ハルヒなら本気でやりかねないから冗談にもならん。 「やれやれ……」 難しいとは思っていたが、こうも脈がないとハルヒ参加は無理みたいだな。阪中には明日謝っておこう。 で、その後は古泉とのボードゲームを再開。夕方になって全員で帰宅モードへ移行。何気ないいつもの一日だった。 ただ、少し気になったのは部室内にいる間、少し様子のおかしかった長門だ。何かを問いかけられた訳でもないのに どうも数センチだけ頭を傾ける仕草を頻発していたのが少し気になっていたので、 「……長門。どうかしたのか?」 帰り道でハルヒに気づかれないように聞いてみる。長門はしばらく黙っていたが、 「情報統合思念体とのアクセスが不安定になっている。原因不明。私自身のエラーなのか、外部からの妨害なのかも不明」 「また、やっかいごとか?」 「回答できない。情報があまりに不足している。帰宅次第、調査を続行する」 「そうか」 俺は嫌な予感を覚えていた。特に長門自身のエラーということについて、つい敏感に反応してしまう。 あの別世界構築騒動の再来になりかねないからだ。 と、長門が俺に視線を向け続けていることに気が付く。そして、俺の不安を察知したのか、 「大丈夫。前回と同じ事にはならない。私がさせない」 きっぱりと言い切った言葉に俺はそれ以上不安を覚えることはなかった。 で、その後は夕飯を食って、部屋で適当にごろごろして、ベッドに潜り込んだ…… ◇◇◇◇ 『校舎と校庭の方にはたくさんの武器が置いてあります。自由に使って構いません。あと、本日午前6時までは何も起こりません。 では、がんばってください』 そこまで言うと、声が止まった。生徒達のひそひそ声がかすかに聞こえるようになる。 昨日のことを思い出してみたが、おかしかったのは長門の様子ぐらいだ。確かに、雪山でも長門の異常とともに、 あの洋館に押し込められたっけか。今回も同じと言うことなのか? 「やあ、あなたも来ていましたか」 考え事をしていたため、目の前のスマイル野郎の急速接近に気が付かなかったことが悔やまれる。 古泉の鼻息が頬にあたっちまったぜ、気色悪い。 俺は微妙な距離を取りつつ、 「ああ、本意どころか、夜中の学校に迷い込んだ憶えもないがな。お前も同じか?」 「ええ、気が付いたらここにいたという状態です。してやられましたね。油断していたわけではありませんが」 そう肩をすくめる古泉だ。ニヤケスマイルはいつも通りだが。 「キョン!」 「キョンくん~!」 「やっほー!」 と、今度は背後から聞いたことのある声が3連発だ。最初のがハルヒで次に朝比奈さん、最後は鶴屋さんだな。 振り返らなくてもわかるね。で、その中には長門もいると。 「全くなんなのよ、これ! 誰かのいたずらにしては大げさすぎない? 人がせっかく暖かい布団でぬくぬくしていたのにさ!」 そうまくし立て始めるハルヒ。こいつにとっては燃えるシチュエーションのはずだが、 寝ていたところをたたき起こされた気分のようで、すこぶる荒れているみたいだな。 「こ、これなんなんですかぁ~。どうしてあたし、学校の体育館にいるんですかぁ?」 涙目でおろおろするばかりの朝比奈さん。これはこれで……ってそんなことを考えている場合じゃない。 俺は即座にこの状況を唯一理解できそうな長門の元へ行く。 相変わらずの無表情状態だったが、少し曇った印象を受けるのは闇夜の所為ではないだろう。 「おい、長門。これは昨日言っていた異常の続きって奴か?」 「…………」 俺の問いかけに長門は答えなかった。もう一度同じ事を聞こうとして、彼女の肩をつかむと、 「情報統合思念体にアクセスができない」 長門はぽつりと言った。あの親玉にアクセスができない? となると、ますます雪山と同じ状況じゃないか。 「ちょっとちょっとキョン! 何こそこそやっているのよ! まさか有希をいじめているんじゃないでしょうね!」 人聞きの悪いことを言いながら俺に詰め寄るハルヒ。こんな状況でいじめる余裕がある奴がいるなら会ってみたいけどな。 そこに、古泉が割って入り、 「まあまあ。けんかをしている場合ではないでしょう。それにこれ以上、体育館にいても仕方ありません。 とりあえず、外に出てみませんか? どうやら、これをしくんだ者からのプレゼントもあるようですし」 「そうね」 ハルヒは素直に古泉の提案を受け入れ、体育館の出入り口に向かう。 「ひょっとしたら、辺り一面砂漠になっていたりして! なんだかワクワクしてきたわ!」 もうハルヒはこの状況を受け入れつつあるらしい。らしいといえばらしいが。 ふと気がつくと、今までひそひそ話をする程度だった他の生徒たちも俺たちについてくるように、 体育館の出入り口に向かって歩き始めていた。一様に不安そうな表情を浮かべているものの、 特に錯乱するような奴はいない。なんだ? おかしくないか? どうして誰も泣いたりわめいたりしない? 「気づいたようですね」 またニヤケ男が急接近だ。しかも、耳元に。吐息が当たって気色悪いんだよ! 「何がだ」 「他の生徒の様子ですよ。まるで落ち着いている。ちょっと動揺しているように見えますが、 表面上だけです。訓練された人間でもこうはいかないでしょう」 「そのようだな。でも、ひょっとしたらみんな肝が据わっているだけかもしれないぞ」 「それはありえません。あなたが初めて涼宮さんに絡んだことに出くわした時を思い出してみればわかるはずです。 しかも、ざっと見回す限り1学年のみの生徒がいるようですが、それでも数百名のうち一人も錯乱しないわけがありません」 「何が言いたい?」 「まだ結論を出すには早いですが、何らかの人格調整を受けたか、あるいは――」 古泉は強調するようにワンテンポおいて、 「姿形だけ同じで、中身は全然別物かもしれませんね」 そこまで言い終えた瞬間、俺たちは体育館から外に出た。 ◇◇◇◇ 「なに……これ」 呆然とハルヒがつぶやく。俺も同じだ。驚きを通り越してあきれてくるぞ、これは。 体育館から出てまず気がついたのは、武器の山だ。体育館の周りに所狭しと銃器が山積みになっていた。 俺は思わずそれを一つとり、 「M16A2か。状態も良さそうだ」 そう知りもしないはずなのにつぶやく。さらに安全装置などを調べている間に、俺ははっとして気がつく。 「なあ古泉。俺はいつからミリタリーマニアになったんだ?」 「さて、僕もあなたのそんな一面を今までみた覚えはありませんが」 古泉も同じようにM16A2を手慣れた感じに、チェックしている。当然だ。俺は映画以外では鉄砲なんて みたこともないし、ましてや撃ったこともない。さわったことすらない。しかし、なんだこの手慣れた感触は。 使い方、撃ち方、整備の仕方までどんどん頭の中に浮かんでくるぞ。どうなっているんだ一体! 「みてください。弾丸の詰まったマガジンも山積みです。どこかと戦争になっても一年は戦えそうですよ」 しばらく古泉は表情も変えずに古泉は武器の山を眺め回していたが、やがてそばにいた長門となにやら話し始めた。 「キョンあれ見てアレ!」 ハルヒが興奮気味に指したのは、校庭だ。そこには10門の火砲――120mm迫撃砲と、 一機のヘリコプター――UH-1が置かれている。って、やっぱりすらすら知りもしない知識が沸いて出てきやがる。 「なによこれ、いつから北高は軍事基地になったわけ?」 なぜか不満そうなハルヒ。あまりこっちのほうは好みではないのか? そんな中、朝比奈さんは不思議そうに無造作に並べれられている迫撃砲の砲弾を突っついている。 「うわ~、何ですかこれ? 初めて見ましたぁ~」 「こらみくる、さわると危ないよっ! 爆発するかもしれないんだかさっ!」 「ば、バクハツですかぁ!?」 びっくりして縮こまる朝比奈さんとおもしろそうにマガジンの山をつっついている鶴屋さん。まあ、鶴屋さんがいれば 大丈夫だろ。 「おい、これって俺たちに戦えってことじゃないのか?」 突然、聞き覚えのない声が飛んできた。さらに、 「さっき、体育館で聞いたじゃない。3日間生き残ればいいって。きっと敵が襲ってくるのよ!」 「おいおい、俺は殺されたくねえぞ」 「そうよそうよ! 徹底抗戦あるのみだわ!」 突然俺たち以外――SOS団に関わりのない生徒たちが盛り上がり始めた。そして、次々とM16A2を手に取り、 構えたり、チェックをはじめやがった。何なんだ、何だってんだ。どうして、誰も疑問に思ったり拒否反応を示したりしない? おまけに俺と同じように知っているかのように扱っている。 さらに、狂った状況が続く。 「でも、ばらばらに戦っていちゃだめだ! 指揮官がいるな!」 「そうね!」 「誰か適任はいないのか?」 「そうだ! 涼宮さんなら!」 とんでもないことを言い出す奴がいたもんだ。よりによってハルヒだと? 一体どんな奴がそんなばかげたことを言い出したんだと声の方に振り返ると、そこには文化祭でドラムをたたいていた ENOZのメンバーの一人がいた。 当のハルヒはきょとんとして、 「あ、あたし?」 そう自分を指さす。さすがのハルヒでも状況が理解できていないらしい。 「そうだよ! 涼宮ならきっと俺たちを導いてくれる!」 「お願い涼宮さん! 指揮官になって!」 「俺も頼む! おまえになら命を預けられる!」 『ハルヒ! ハルヒ!』 「ちょ、ちょっと待っててば!」 と、最初こそしどろもどろだったが、やがて始まったハルヒコールにだんだん気分がよくなってきたらしい。 だんだん得意げな顔つきになってきたぞ。 「ふ、ふふふふふふふふ」 ついには自信に満ちあふれた笑い声まで発し始めやがった。 「わかったわ! そこまで頼られちゃ仕方がないわね! このSOS団団長涼宮ハルヒが指揮官としてあんたたち全員を 守ってあげるわ! このあたしが指揮する以上、どーんと命を預けてもらっていいわよ! アーハッハッハッハ!」 そうやって生徒たちの中心で拳を振り上げるハルヒ。あまりの展開に頭痛がしてきたぞ。 額を抑えていると、長門と密談を終えたらしい古泉がまた俺に急接近してきて、 「大丈夫ですか?」 「ああ、今ひどい茶番を見た」 微妙な距離を保ちつつ答える。古泉はやや困ったように表情を変え、 「それには果てしなく同意しますね。しかし、この強引すぎる茶番劇でしくんだ者の大体目的が理解できました」 「頭痛が治まったら聞いてやる……ん?」 ふと俺の目に二人の生徒がこの茶番劇な流れに逆行するようにこっそりと移動しているのが入ってきた。いや、正確に言うと、 一人が逃げるように移動し、もう一人がそれを追いかけているみたいだ。まあ、思いっきり見覚えのある奴なんだが。 「まずいよ、勝手に逃げ出しちゃ」 「馬鹿言え! こんなばかげた催しに参加してたまるか! おまけに総大将が涼宮だと? 冗談じゃねえよ!」 「でも、なんだかおもしろそうだよ? すごいものがいっぱいあるし」 学校の塀を必死に上ろうとするが、どうしてもうまくいかない谷口。そして、それをやる気なく止めようとする国木田。 何というか、この意味不明空間に閉じこめられてから、初めて正常と思える人間にであったな。 「おい、何やってんだ谷口。それに国木田も」 そんな二人に向かって声をかけると、谷口の野郎がまるで鬼でも見るような目で、 「く、くるなキョン! いや、別におまえに恨みはないが、セットで涼宮がついてくるかもしれないからな! 今は見逃してくれ! 頼む! 明日弁当をおごってやるから!」 もう谷口は今にも泣き出しそうだ。まさに普通の反応。安心するどころか癒されるね。まさかアホの谷口に 癒しを求める日がこようとは。 「まあ、落ち着け。いや、落ち着かないほうがおかしいけどな」 「どっちだよ」 すねた表情で谷口が抗議する。俺ははいはいと手を振りながら、 「とにかく、逃げだってどうにもならんだろ。ここがどこなのかもわからんしな。それにさっきの超不親切放送を信じるんなら、 3日間学校に閉じこもっていれば、何もかも元通りとのことだ。それなら学校のどっかに隠れていた方がマシだろ」 「僕もそう思うよ。別に殺されると決まった訳じゃないし」 国木田がうなずいて俺に同意する。しかし、谷口は聞く耳も持たず、またロッククライミングを再開して、 「うるせえ! そんなの信用できるか! とにかく俺は逃げる! 誰も知らないところで隠れて3日間逃げ切ってやるからな!」 わめきながら谷口はようやく塀を乗り越えようとした瞬間―― 「うわわわわわっ!」 情けない悲鳴を上げて、背中から落下する。 咳き込む谷口の背中をさする国木田を背に、俺もとりあえず塀を上ってみる。一応何があるのか確認しておきたいからな。 「……なんてこった」 塀を乗り越えた俺の目に広がったのは、絶望的に広がった暗闇だ。夜だからではない。学校の塀が断崖絶壁になり、 それよりも向こう側には何もなかった。崖のそこは暗く何も見えない。まさに底なしだ。落ちたらどうなるのか。 試してみたい気もするがやめておこう。 「畜生……なんてこんな目に……」 すっかり逃げる気も失せた谷口は、肩を落として地面に座り込んでいた。一方の国木田はいつものまま。 マイペースな奴だ。 俺はとりあえずハルヒの元に戻ることにした。谷口ももう逃げようとはしないだろうし、あとは国木田にでも任しておけばいい。 しかし、体育館入り口に戻った俺はさらに驚愕する羽目になった。 「ほらほらー! 時間がないんだからちゃっちゃと運びなさぁい! そこ! それ落としたら爆発するかもしれないから、 慎重に扱ってね! さあビシバシ行くわよ!」 校庭のど真ん中にたったハルヒが、メガホン片手に生徒たちを動かしていた。そこら中に散らばっている銃器や砲弾を 学校の校舎内や体育館に運び込ませさているらしい。実際、野ざらしだとどんなはずみで暴発するかわからんから、 ハルヒの判断は間違ってはいないが、すっかり指揮官なりきり状態にはいささか不安を覚える俺だった。 ◇◇◇◇ 「さて! じゃあ、SOS団ミーティングを始めるわよ!」 ハルヒの威勢のいい声が部室内に広がる。最初のとまどいもどこにやら、完全にいつものペースに戻っているようだ。 おまけに総大将とかかれた腕章まで着けている。すっかりその気になっているみたいだな。 全生徒総出での片づけがようやく終了して、現在午前4時の部室内にいるのは、 SOS団のメンバー+鶴屋さんの総勢6名である。 総大将ハルヒはどうやらSOS団関係者を中心としてこの事態を乗り切るつもりらしい。 「とにかく、このよくわかんない状況をとっとと終わらす必要があるわね! さっき体育館でなんて言っていたっけ? 古泉君」 「3日間一人でも生き残れば、その間にあったことすべてが無効となって、元の世界に戻ることができる。 しかし、全員死んでしまった場合はこの3日間の間に起こったことがすべて事実になる。ということのようでした。 あと、午前六時――あと一時間後までは何も起きないとも言っていましたね。それに我々以外の人間は存在せず、 助けを求めようとしても無駄だとも」 さわやかに答える古泉。ハルヒは満足げにうなずき、 「そう! それよ! さすが古泉君ね!」 なにが、さすが古泉なのかわからんが、そんなことはどうでもいい。 「おい、ハルヒ。ちゃんと状況を理解しているのか? 体育館で一方的に言われた内容だと、これから俺たちは 命をねらわれるということになるんだぞ。いつもの不思議探検ツアー気分でやっているんじゃないだろうな?」 「わかっているわよ、そんなこと」 当然だとハルヒ。さらに続ける。 「まあ、いつもならこんな訳のわからない超常現象に遭遇してワクワクしているかもしれないけど、 はっきりいってシチュエーションが気にくわないわ。仕掛けてきたのが宇宙人なのか未来人なのか異世界人なのか 知らないけどこんな不愉快な接触をしてくるなんてナンセンスすぎ! 説教の一つでもしてやらないと!」 これでハルヒが望んだからこんなけったいなことに巻き込まれたというのはなしだな。 ますます雪山の一件と同じになってきた。 ハルヒは仕切り直しというようにわざとらしく咳き込んで、 「まず、これからどうするかよね。有希、何か良い意見ある?」 何で真っ先に長門に聞くんだ。確かに一番適任かもしれないけどな。 話を振られた長門は、数センチ頭を傾ける動作をしたまま無言だった。 ハルヒはそれをわからないというポーズと受け取ったようで 「そっか、有希に聞いても仕方ないわね。じゃあ、古泉君は?」 今度は古泉に話を振るが、それに割り込むように鶴屋さんが大きく手を挙げ、 「はーい! やっぱさ、ここは偵察所を兼ねた前線基地を作ったほうがいいと思うねっ! 話を聞く限りだともうすぐこの学校は何かにおそわれるってことだけど、いきなり本拠地である学校への 襲撃を許したらまずいと思うんだっ! だから、少しでも敵を学校から引き離すためにさっ!」 「すばらしいわ、鶴屋さん! それ採用よ!」 はい、あっさりと終了。何気に息がぴったりな二人だな。しかも、鶴屋さん。 そんなことをすぐに思いつけるなんて、いくら名家の人とはいえこういった戦闘的な経験はあったりしませんよね? 話を振られようとしていた古泉も珍しく苦笑いを浮かべつつ、 「僕も賛成です。このままじっとしているだけでは、敵に叩かれるだけでしょうね」 俺はちらっと長門の方を見るが、相変わらずの無表情だった。とりあえず、口を開かないと言うことは 同意しているととっておくことにしよう。 俺も特に異論もないので、鶴屋さん案に同意する。 「なら決まりね! じゃあ、早速作戦を立てましょ」 そう言ってハルヒが机に広げたのは学校周辺の地図である。ただし、北高のすぐ左側を縦に黒いライン、また同じように 北高の敷地の南側に沿うようにも同じようにラインが引かれている。さっき谷口が腰を抜かした断崖絶壁を 表しているラインであり、屋上から確認したところ、北高より西側と南側はまるで何かに切り取られたように なくなっていた。よって、敵が襲ってくるなら北高よりも北西となる。 さて、こんな地理関係でどこに前線基地をつくればいいのかと考えてみる。というよりも敵がどこから襲ってくるのか 予測しなければ、前線基地の意味もないのでそっちが先決だな。 「北高の北側は住宅街です。見通しがききづらいので、民家を陰に接近されやすいでしょう。東側は森がありますが 幸い校庭に面しているため、即刻学校にとりつかれることはありません。校庭に侵入を確認した時点で 迎撃することが可能かと」 「なら北側しかないわね。でも、どこにするのがいいのかしら」 古泉の意見を取り入れつつ、ハルヒは北高の北側一帯を指でなぞる。そんな中、ちらちらとハルヒが目をやっているのは、 北山公園だ。そこそこ広範囲な森で隠れるならうってつけの場所だろう。 「そうなると、ここが最適じゃない?」 ハルヒが赤いサインペンで丸をつけたのは、北側に東西に延びるようにたてられているサンハイツと呼ばれる建物だ。 良い感じに北高をカバーする防壁のように立ち並んでいる。 「問題ないと思うよっ! ここなら建物沿いに学校へ移動してきてもすぐに発見できるんじゃないかなっ。学校からも すごく近いし、移動も簡単だと思うよっ!」 鶴屋さんが賛同するんで、俺も適当に賛同しておく。こういった頭を使うものは俺なんかよりもハルヒたちに任せておけばいい。 「ちょっとキョン! さっきから他人の意見ばっかりにハイハイしたがってないで、自分の意見を言ったら!?」 いつも人の意見を聞かないくせに、こんな時ばかり聞かないでくれ。どのみち、ハルヒや鶴屋さん以上の意見なんて 全く思いつかないんだからな。 「……まあ、いいわ。じゃあ、これで前線基地は決まりね! 次はお待ちかねのみんなの役割を発表するわよ!」 何がお待ちかねだ。一番胃が痛くなるやつじゃねえか。こいつが決めた物は大抵ろくな配分になっていないからな。 とくに俺と朝比奈さんは。 ハルヒは満面の笑みを浮かべて、懐から一枚のメモを取り出して机に広げた。 ● 総指揮官 涼宮ハルヒ(もちろん、すべての作戦を統括する一番偉い人!) ● 副指揮官 長門有希 (戦況を判断して的確に指示を出すSOS団のブレーン) ● 小隊長 古泉君 (30名の部隊を引き連れて前線で戦う人) ● 小隊長 鶴屋さん (30名の部隊を引き連れて前線で戦う人) ● 小隊長 キョン (30名の部隊を引き連れて前線で戦う人) 以上、これがメモかかれていたことである。総指揮官、副指揮官ときて次に小隊長かよ。階級差が飛びすぎだろ。 それになんか俺が前線で戦う人にされているし。 不満そうにしている俺に気がついたのか、ハルヒはしかめっ面で、 「何よ。 なんか不満でもあるわけ? いっとくけど、総指揮官であるあたしの命令は絶対よ! ハートマン軍曹より 厳しいからそのつもりで!」 放送禁止用語を連発するハルヒを想像してしまって吹き出しそうになるが、あわてて飲み込む。 「完全に数えた訳じゃないけど、体育館にいたのは一学年全員ぐらいはいたわ。となるとざっと数えて270人がいるわけ。 幸いみんな協力的だから、戦力として数えられるわけよ。で、そのうち5割を戦闘員として、キョンたちが指揮して、 残りは補給とか片づけとかの役割に回すわ」 続けるハルヒに少し安堵感を覚えた。さすがにSOS団VSコンピ研の対決の時のように突撃馬鹿になるつもりはないようだ。 ところでだ、メモ最後にかかれているのはいったい何だ? 「あのぅ……わたしは一体何をするんでしょうかぁ? 癒し系担当とかかかれているんですけどぉ……」 おそるおそる手を挙げて質問する朝比奈さん。メモには、 ● 癒し系担当 みくるちゃん (みんなを癒す係) とだけかかれている。確かにこれだけでは一体何をするのかさっぱりわからないな。 「それにみなさんは戦闘服なのに、なんでなんでわたしだけはナース服なんですかぁ?」 朝比奈さんの発言で思い出した。言い忘れていたが、今朝比奈さん以外の面々はみんなウッドスタイルな迷彩服を着込んでいる。 おまけに実弾入りの小銃のマガジンやら必要な物をすべて身につけ、肩には銃器を抱えていた。 これはとある教室に押し込まれていたものだったが、ハルヒ曰く、せっかくあるんだから使わないと損、と言って 男女問わず生徒たちに身につけるように指示を出した。むろん、俺たちSOS団+1も例外ではない。 おかげで全身が重くてたまらん。だが、それにすら慣れという感覚を感じてしまっている。 で、そんな中、朝比奈さんだけがナース服という状態だから、端から見るとコスプレ軍団が密談をしているようにしか見えんだろ。 「みくるちゃんは、その格好で歩いているだけでいいわ。それだけでみんな癒されるはずよ。 それに戦闘中に歩き回られても邪魔なだけだし」 ハルヒ、それは違うぞ。朝比奈さんはそんなけったいな衣装を着込まなくても十分癒しを提供してくれるんだ。 見てくれを気にしすぎるおまえには一生わからんだろうがな。 「じゃ、これで役割分担は終わり。さっそく実行に移しましょう」 「おい! これだけで終わりかよ!」 思わずハルヒに抗議の声を上げる。たとえばだ、俺が小隊長にされているが、分隊はどうするのかとか、 各装備はどうするのかとか―― 「そんなことは分隊長であるあんたが決めなさいよ。古泉くんと鶴屋さんも。あ、学校内の態勢とかはあたしと有希で決めるわ」 細かいところはやっぱり適当だな、おい。まあいいか、ハルヒにどうこういじられるよりかは、 俺が直接やった方が自由がききそうだ。やったこともない知識が頭の中にすり込まれているせいか、 どうすればいいかは大体わかるしな。 「さて……」 ハルヒは忘れ物はないかとしばらく考えていたが、 「ちょっと顔を洗ってくる」 そういって早足で部室から出て行った。いつもよりも落ち着きのない足取りからガラにもなく緊張しているのか? と、鶴屋さんと朝比奈さんもハルヒに続くように、 「あっ、あたしも行くよっ!」 「わたしも行きます~」 そう言って部室から出て行った。ただし、鶴屋さんは俺にウインクをして。どうやら気を遣ってくれたらしい。 まあ、せっかくのご厚意だ。今のうちに聞いておけることは聞いておこうか。 「おい古泉。もう頭痛も治まったから、さっきの続きを言っても良いぞ。ただしハルヒたちが戻るまでだから手短に頼む」 古泉は待ってましたといつもの解説口調で説明を始める。 「この閉鎖空間に近いような空間――わかりやすく疑似閉鎖空間と呼びましょう。これはあきらかに涼宮さんが作り出した物では ありません。現に神人も現れず、また僕の能力も使えるようになっていない。となれば、別の何者かがこの空間を作り出し、 我々をそこに押し込んだと推測できます」 「それは俺でも予想ができたな。雪山の時と一緒だろ」 「ええ、その通りです。あと、疑似閉鎖空間を作った者の目的ですが、おそらく涼宮さんを追い込んだ状況に 陥らせて彼女の能力を使った何らかのアクションが起きることを期待しているのかと」 「何を期待しているんだ?」 古泉は首を振りながら、 「残念ながらそこまでは推測できません。情報が不足しすぎていますしね。しかし、涼宮さんに強烈な負荷をかけて 彼女の精神状態を乱すことが目的なのか確実です」 「それにしては、状況が甘すぎるんじゃないか? 不親切とはいえ状況説明をしたあげく、わざわざ武器まで渡している。 おまけに学校の生徒をハルヒの言うことを聞くようにして、俺たちにも軍人並みの知識と経験もすり込んでいるしな。 いっそ、生徒全員、あるいはSOS団メンバーだけで殺し合いをするようにすれば、さすがのハルヒでも おかしくなるだろうよ。そんなのはまっぴらごめんだがね」 「それでは、涼宮ハルヒがこの状況そのものを否定する可能性がある」 そこで割り込むように口を開いたのは長門だった。そういや、体育館以来声を聞いていなかったな。 「長門さんの言うとおりです。それでは涼宮さんは疑似閉鎖空間そのものを破壊してしまうでしょうね。 彼女の能力を持ってすれば簡単な話です。それをさけるためには、一定レベルで涼宮さんがこの疑似閉鎖空間の状況、 つまりこの仕組まれた展開を受け入れなければなりません。先ほどの茶番劇も涼宮さんに対して、 今この学校内にいる全生徒が自分を信頼してくれているという暗示をかけたようなものでしょう。 涼宮さんの性格からあそこまで持ち上げられると乗ってくるでしょうし、何よりも不満があるとはいえ、 彼女にとっては今まで味わえなかった奇怪なシチュエーションです。今のところ、この状況そのものを 否定するような要素は存在しません。完全に仕組んだ者の思惑通りに進んでいると思います。今のところ、はですが」 なるほどな。確かにあいつが興奮気味なのは見てりゃわかる。しかし、それが敵と言える奴らの思惑なら 腹立たしいことこの上ない。 と、俺は学校から逃げだそうとしていた谷口――とおまけで国木田――を思い出し、 「だが、妙なこともあるぞ。確かにここにいる大半の生徒たちはハルヒに従うように人格を調整されているみたいだが、 俺たちSOS団のメンバーや鶴屋さんはどうなる? 確かに軍事知識と経験は頭の中にねじ込まれているみたいだが、 ハルヒに盲目に従うようにはなっていないぞ。谷口に至ってはハルヒが総大将になったとたん、 学校から逃走しようとしたぐらいだ」 「その通り。SOS団や涼宮さんに関わりの強い人間は、人格調整的なものまでは受けていないようですね。 しかし、これからもわかることがあります。涼宮さんに従うようにされている生徒たちは、はっきりと言ってしまえば、 捨て駒のようなものであり、使いたいときに使える道具とされている。あ、とはいっても本当にロボットのように なっているかと言えばそうではありません。9組の何人かと話をしてみましたが、性格的なものは普段のままでした。 あくまでもベースは個人の人格を踏襲しつつ、涼宮さんと関わる際にその指示に必ず従うよう 何らかの暗示のようなものをかけているのかもしれません。 本題は涼宮さんに近い人間を通じて彼女に負荷をかけるということです。 しかし、僕たちがあまりにいつもと違う言動を行えばリアリティを損ない、 涼宮さんが姿形は同じな別人であると認識しかねません。それでは負荷も半減するというものです」 つまり、普段のままの俺たちがどうこうなることで、ハルヒに衝撃を与えようとしているって訳か。 俺を殺してハルヒの反応を見るとかいっていた朝倉の仕業じゃないかと疑いたくなるぜ。 「ん? となるとハルヒ自身には何も操作が行われていないってことか? にしちゃ、武器の扱いも 手慣れているように見えたが」 「涼宮さんは文武両道、しかも何でもそつなくこなせる非常に優れた方です。そのくらいできても不思議ではありません。 あるいは、涼宮さん自身がそう望んだからかもしれませんが。どちらにしろ、今までの推測から涼宮さんの能力には 制限がかけられていないと考えられます。僕や長門さんとは違ってね」 古泉は困りましたねと言わんばかりに肩をすくめる。そういや、長門は昨日から異常を察知していたようだが…… 「古泉はともかく長門もそうなのか?」 「現在のところ、情報統合思念体にはまったくアクセスできない。また、わたしの情報操作能力も完全に封鎖され、 今ではあなたと大して変わらない」 ここぞと言うときにはどうしても長門に頼ってしまうのが悪い癖だと思っているが、 今回は頼ることすらできないと言うことか。しかし、それでも普段と同じ無表情を貫いているのは、 ただ緊張や不安という感情を持ち合わせていないためか、それとも見せないようにしているか。 以前みたいに脱出のためのヒントも期待できないだろう。どうすりゃいいんだ。 「我々からこの状況を同行できる状態ではありません。今は仕組んだ者の思惑に乗るしかないでしょう。今はね」 古泉の言うとおり、どうにかする手段どころか手がかりすらない。腹立たしいが、今はこのバカみたいな展開を 乗り切ることを考えるか。 ふと、長門がじっと俺を見たまま動かないことに気がつく。表情もそぶりもいつものままだが、 俺は何かの感情を込めたオーラのようなものがこっちに向けられていることをひしひしと感じる。 「取り返しのつかない失態。すまないと思っている」 長門は慣れない単語を口に出そうとしているためか、口調がぎこちなかった。だが、 「今のわたしにはあなたを守ることができない」 彼女の意志だけはこれ以上ないと言うほどに伝わった。 ◇◇◇◇ 『あー。テストテスト』 時刻は午前5時半。場所は校庭、俺たちは朝礼台の上でトランジスターメガホンのマイクテストを行う 総大将涼宮ハルヒに向かって、現在朝礼のように全生徒が整列して並んでいる。あと30分ほどで何かが始まるということだ。 ちなみに、並び順はハルヒから向かって右側に戦闘部隊――つまり俺や古泉、鶴屋さんがいる。生徒たちはハルヒだけじゃなく、 どうやらSOS団に深い関わりを持つ人間の言うことには素直に従うように調整されているらしい。さくさくと 1-5組を中心に30人をかき集めて小隊の編成をくみ上げて、こうやって整列している。なんだかんだで谷口と国木田も 俺の小隊に入った。他の二人も同様に編成を終えている。細かい編成内容を説明するのは勘弁してくれ。 無理やり詰め込まれた知識を披露するようなもんで、大変腹立たしいからノーコメントとさせてもらうぞ。 向かって左側にはそれ以外の生徒だ。長門はこっちのグループに入っている。で、なぜか朝比奈さんだけはハルヒのいる 朝礼台の上と来たもんだ。衆目の目前に景気づけにとんでもないことをやらされそうになったら一目散に飛び出すつもりである。 『えー、皆さん!』 準備が整ったのか、ハルヒがトランジスターメガホン片手にしゃべり始めた。 『はっきり言ってなんかよくわかんない状況だけど、あたしについてくれば大丈夫! どっどーんとついてきなさぁい!』 あまりの言いように俺は肩を落としてしまった。もう少し言うことがあるだろうに。誰も見捨てないとか、 みんなで乗り越えようとか。ハルヒらしいといえばそれまでなんだが。 『んで、とりあえず作戦なんだけど、北高の北側に前線基地を作ります。そこの担当は鶴屋さんね! よろしく!」 突然の指名に一瞬きょとんとする鶴屋さんだったが、やがていつもの笑顔に戻り、 「へっ? あたし? りょーかいっ!」 おい、そんなことは初めて聞かされたぞ。前もって言っておけよな。そして、鶴屋さん。それを少しも動じずに 受け入れられるあなたは大物すぎます。 『他の人たちは適当に学校周辺を見張って。特に校庭側に注意すること! 今のところは以上!』 適当すぎる。今からでも遅くない。とっつかまえて再考させるべきではないだろうか。 「すがすがしいほどに簡潔でわかりやすいじゃないですか」 相変わらずのイエスマンぶりを発揮する古泉。もはやつっこみも反論する気にもならん。 『じゃあ、最後に癒し担当のみくるちゃんに、激励の言葉をお願いするわ!』 そう言ってトランジスターメガホンを手渡された朝比奈さんはただおろおろするばかり。 しばらく、ハルヒと言葉を交わしていたが、結局いつものように観念したのか、朝礼台の前に立った。 『ええーと、あのーですね……』 「みくるちゃん! そんな覇気のない声じゃ激励になんないでしょ!」 メガホンなしでもハルヒの声が聞こえてきた。朝比奈さんが不憫すぎる。今すぐにでも助けに行くべきか? しかし、俺が考えている間に朝比奈さんは決意したようで、 『みっみなさーん! がんばってくださーい! 一緒にかえりまひょー!』 その声に全生徒が一斉に腕を上げておー!と答える。ちなみに、男子生徒はやたらと張り切って手を挙げているのに対して、 女子生徒はいまいちやる気なく手を挙げているのは俺の偏見にすぎないのだろうか? ハルヒはとっとと役割を終えた朝比奈さんからトランジスターメガホンを奪い取り、 『よーし! じゃあ、張り切って作戦開始!』 黄色い叫び声が飛んだと当時に、並んでいた生徒たちの整列が解け、それぞれの持ち場に移動を開始した。 やれやれ、これからが本当の地獄だろうな。 と、俺の小隊の連中がぞろぞろと周囲に集まり始めていた。どうやら、俺の指示を待っているらしい。 そんなとき、学校から出て行こうとする鶴屋さんの姿が目に入る。俺は彼女の元に駆け寄り、 「すいません鶴屋さん、ハルヒの奴が勝手なことばかり言って。本来なら俺か古泉が行くべきなんでしょうけど」 「んー? いいよっ、別にさっ! 言い出しっぺはあたしだからちょうどいいよっ!」 変わらずハイテンションだな。ハルヒといい勝負かもしれん。 「じゃっ、あたしは行くよっ! みくるによろしくって言っておいてっ! じゃあ、またねーっ!」 まくし立てるように言ってから鶴屋さんは学校から小隊を引き連れて出て行った。無事を祈ります、鶴屋さん。 「キョンくーん!」 続いて一歩遅れて俺の元にやって来たのは朝比奈さんだ。ああ、そんな息を切らせて走ってこなくても。 呼んでくだされば、たとえ地球の裏からでも馳せ参じますから。 朝比奈さんは呼吸を整えるようにいったんふーっと息を吐き出すと、 「つ、鶴屋さんはもう言っちゃいましたか?」 「ええ、たった今。朝比奈さんによろしくって言っていましたよ」 何か伝えたいことでもあったのだろうか。残念そうな表情を見せる朝比奈さんだった。 「しかし、すごい人ですね。こんな状況だってのに全くいつものペースを乱していないんですから。 俺もあの度胸を少しだけ譲ってほしいかも」 「そんなことないです!」 俺の言葉を即刻否定されてしまった。見れば、普段とは違ったまじめな顔をした朝比奈さんがいる。 「そんなことはありません。鶴屋さんはこの事態を深刻に受け止めているんです。だって……」 朝比奈さんは強調するようにワンテンポをいてから、 「だって、鶴屋さん、ここに来てから一度も笑っていないんです。いつもは少しでも楽しいことがあればすぐに……」 言われてからはっと気がついたね。確かに口調とハイテンションぶりは変わっていなかったが、 一度も笑っていない。いつもあんなに心底楽しそうに笑う人なのに。 「すみません。俺がうかつでした。そうですよね、あの人なりにやっぱり考えることも当然あるでしょうし」 「いいいいえ、別にキョンくんを責めた訳じゃないんですよっ。ただ、鶴屋さんも真剣になっていると わかってほしかっただけなんです」 「それはもう、心の底から理解していますよ」 とまあ、なんだかんだで良い感じになっていた俺たちな訳だが、それをぶちこわす奴が登場だ。 「あ、朝比奈さん! どうも! 谷口でっす!」 おーおー、鼻の下をのばしきった下心丸出しのアホが登場だ。せっかく良い感じだったってのに。 「谷口さんですね。覚えています。映画撮影と文化祭の時はどうも」 丁寧にお辞儀をする朝比奈さんだが、そんな奴にかしこまる必要はありませんよ。顔にスケベと書かれているし。 そこで谷口は突然襟を正し始め、少し不安げな表情になる。そして、ねらい澄ましたような口調で、 「朝比奈さん。実は俺、怖くてたまらないんです。こんな世界に押し込まれてこの先どうなるかもわからない。 だから、せめてあなたの胸で抱擁させていただければ、この不安も少しは解消されて――ぶっ!」 「小隊長命令だ。とっとと朝比奈さんから離れろ」 堂々とセクハラしますよ宣言をしやがった谷口の襟をつかんで、俺のエンジェルから引きはがす。 一瞬息が詰まったのか、谷口は咳き込みながら、 「キョン! なにしやがる!?」 「うるせえ。小隊長命令が聞けないなら、キルゴア中佐命令まで格上げしてサーフィンさせるぞ。当然銃弾が飛び交う中でだ」 「職権乱用だ! 大体、サーフィンってどこでやるんだよ!」 なんてしつこく抗議の声を上げているが完全無視だ。幸い国木田が仲裁に入って、アホをなだめているので、 「ささ、朝比奈さん、ここには野獣がいますから戻った方が良いです」 「あ、はい……」 そう言って彼女は内股走りで去っていった。やれやれ、下劣な侵略を阻止したってことで俺の任務は終了にしてくれんかね。 谷口はまだ何か言って見るみたいだが、完全に無視。で、次にやることはっと…… 「……何をすれば良いんだ?」 俺はハルヒが引っ張り回している120mm迫撃砲を見ながら考え込んでしまった。 ◇◇◇◇ とりあえず、俺は東側からの襲撃に備えて校庭を警備していた。むろん、自分の小隊を引き連れて。 現在午前7時半――日数の期限があるからこういった方が良いか。1日目午前7時半である。 今のところ、全く異常はない。無事にサンハイツに陣を張った鶴屋さんの方にもそれらしいものはないらしい。 と、通信機を持たせているクラスメイトの阪中が、 「涼宮さんから連絡なのね」 そう言って無線機を差し出してきた。すぐ近くにいるのに、わざわざ無線で連絡しなくても。 俺はそれを受け取って――とハルヒと話すのは一時停止だ。 「阪中、すまないがこないだの球技大会の話なんだが……」 「……球技大会?」 何のことかわからないと首をかしげる阪中。覚えていないのか。いや、それともこの阪中は そんな記憶すら存在していないのか。ま、どっちでもいいか。 「いや、何でもない」 そう言って無線機を取る。 『あーあーあー、キョン聞こえる?』 「なんだハルヒ。こっちは特に異常はないぞ」 『オーケーオーケー。平穏無事が一番だわ。前線基地構築に敵もびびったのかしらね! このまま、何もしてこなければ良いんだけど』 相変わらずのポジティブ思考だ。そうなってくれることに越したことはないが。 だが、これを仕掛けた奴もそんなに甘くはない。突然、どこからともなくパーンパーンと 乾いた発砲音が耳に飛び込んできた。やがて、すさまじい連続発射音が鳴り響き始める。 「おい、キョン! なんだなんだ!」 至極冷静な小隊の中で、さっそくあわて始めたのは谷口だ。これが普通の反応なんだろうけどな。 「ハルヒ! 何が起こっている!?」 『鶴屋さんの方に攻撃があったのよ! 今わかっているのはそれだけ! 詳しくわかったらまた連絡するから、 そっちも警戒を怠らないで! オーバー!』 そこで無線終了。ちっ、早速戦闘かよ。鶴屋さんは無事なんだろうか? 俺は校庭の東側に対して警戒を強めるように支持をする。ほとんどの生徒は素直に従うが、 谷口だけはびびっておろおろするばかり。M60なんてデカ物を構えているのは、恐怖心の裏返しなのかもな。 激しい銃声音が響いたのは5分程度だろうか。やがて、それも収まり、辺り一帯に静寂が訪れる。 結局、学校東側からの攻撃もなかったな。 また、阪中が俺に無線機を差し出してきた。ハルヒからの連絡らしい。 『鶴屋さんの方は終わったみたいよ。けが人もなくあっさり撃退したんだって! さっすが、鶴屋さんよね。 SOS団名誉顧問なだけあるわ!』 SOS団は関係ないだろうが、あの人ならこのくらいは平然とやってのけそうだ。 『で、そのまま北山公園の方に逃げていったんだってさ。大体、20人ぐらいが襲ってきたらしいけど』 「20人? なら攻撃してきたのは人間なのか?」 『うーん、それがいまいちはっきりしないのよね。鶴屋さん曰く、人の形を何かが銃やらロケット砲やら抱えてきて 襲ってきたんだってさ。形は人間らしいけど、全身真っ黒でまるでシェルエットみたいな連中らしいわよ。 何人か倒したらしいけど、銃弾が命中すると昔のゲームみたいに飛び散ってなくなっちゃんだって』 なるほどね。ゲームだと思っていたが、本当にゲームの敵みたいな奴が襲ってくるのか。 じゃあ、俺が撃たれても大して痛くないのかもしれないな。それは助かる。 「これからどうするんだ?」 『ん、とりあえず、現状維持で。このまま、3日間学校を守りきるわよ!』 そこで通信終了。すぐさま、阪中に鶴屋さんに連絡を取るように指示する。 『やっほーっ! キョンくん、なんか用かいっ?』 いつもと同じ調子なお陰でほっとするよ。 「鶴屋さん、なんか大変だったみたいだけど大丈夫ですか?」 『へーきへーき! もうみんなそろってぴんぴんしているよっ!』 「そうですか……それはよかった――」 と、そこで鶴屋さんの声のトーンが少し変わるのに気がついた。いや、しゃべってはいないんだが、 息づかいというかなんというか…… 『んーと、おろろっ? なんだあれ――』 いやな予感が走る。なんだ…… 『――伏せてっ!』 無線機から飛び出したのは、今まで聞いたことのないような鶴屋さんの声だった。 恐ろしく緊迫し、驚いているのが表情を見なくても簡単にわかる。 次の瞬間、北高校舎の西側3階で大爆発が起こった。衝撃と音で全身がふるえ、鼓膜が破れるぐらいに 圧迫される。 「みんな伏せろ! とっとと伏せるんだ!」 俺は小隊の仲間をすべて地面に伏せさせた。とはいっても、見通しがよく物陰のない校庭では どのくらい効果があるのかわからないが、呆然と立っているよりも安全なはずだ。 そんな中、阪中は愚直に俺のそばにつき、無線で連絡が取れるような状態にしていた。 本来の彼女ではないのだろうが、こう忠実なのは今ではかえってありがたい。 「鶴屋さん! 何が起きているんですか!?』 『北高に向けて何かが飛んでいっているっさ! まだまだそっちに行くよ! ハルにゃんと連絡を取りたいから、 いったん通信終了っ!』 無線が終了して、阪中に無線機を返す。冗談じゃねえ、敵はミサイルかロケット弾か何かを 北高に向けて撃ってきているってのか!? 反則だろ! 反撃のしようがねえじゃねえか! さらに続けざまに2発が校舎側に直撃し、さらに一発が俺たちの目前に広がる校庭の東側に落ちた。 轟音で地面全体が振動している。 そんな中、器用に匍匐前進で谷口が近づいてきて、 「おいキョン! このまま、ここにいたらやべえぞ!」 「言われんでもわかっているさ!」 やばいのは重々承知だ。しかし、校舎側にも激しい攻撃――また3発が校舎に直撃した――が加えられている。 あっちに逃げても状況が変わらない上、人口密度が増えてかえって危険だ。なら、いっそのこと、 北高敷地外に出るか? いや、あわてふためいて逃げ出したところを敵に襲撃されたらひとたまりもない。 案外、学校周辺に敵が潜んでいて、俺たちが北高から飛び出すのを待っているかもな。校庭に塹壕でも 掘っておくんだったぜ。 どうするべきかつらつら考えていていたが、ふと気がつく。さっきの校舎に直撃した3発以降、 北高に何も攻撃が加えられていない。収まったのか? 俺は全員に伏せるように指示し――ついでに東側から敵が襲ってきたら遠慮なく撃てとも―― 俺自身は校舎に小走りに向かった。 ◇◇◇◇ 学校は凄惨な状況だった。学校の外壁には穴が開き、衝撃で校舎の窓ガラスがかなり割れてしまっている。 負傷者も出たようで、担がれて運ばれていく生徒もちらほらと見かけた。 と、状況確認のためか走り回っていたハルヒが俺に気がつき、 「キョン! よかった無事だったんだ!」 「ああ、おかげさまでな。俺の部隊も全員無事だ。負傷者もない。しかし、こっちは手ひどくやられたな」 「うん……。幸い、重傷者はでていないけど、窓ガラスの破片で数人が怪我をしたわ。今、みくるちゃんが手当してる」 朝比奈さんが看病? 当然膝枕の上だろうな? なんだか無性に負傷してきたくなったぞ。 「なに鼻の下のばしているのよ、このスケベ」 じと目で下心を見破るハルヒ。こういうことだけはほんとに鋭い奴だ。 「で、これからどうするんだ? このままだと、またさっきの奴が飛んでくるぞ」 「わかっているわよそんなこと」 ハルヒはあごの手を当て考え始めた。と、すぐそばを負傷した生徒が抱えられていった。 顔面に傷を負ったのか、激しい出血が迷彩服に垂れかかり、別の色に染め上げつつあった。 「状況は一変したわ。作戦の練り直しが必要だと思う」 ハルヒが取った行動は、SOS団メンバーを集めてミーティングを開くことだった。 さすがのこいつでも一人では決めかねるらしい。独断で何でも決められるのよりは何十倍もマシだが。 のんきに部室に戻るわけにも行かず、昇降口前での緊急会議だ。 ただし、鶴屋さんだけは前線基地から動けないので、無線越しである。 さらに朝比奈さんは負傷者の救護で手一杯らしく不参加。手当を求める『男子生徒』の長蛇の列を捌いているとのこと。 絶対に負傷していない奴も混じっているだろ、それは。 「最初に前線基地が攻撃されたかと思えば、今度は遠距離からの攻撃ですか。敵もいろいろと考えているようですね」 感心するように古泉はうなずいているが、そんな場合じゃないだろ。 さっきは十発程度で終わってくれたが、次はこれ以上かもしれない。校舎の被害は大きいが、 本当に幸いだったのは、砲弾やらなんやらが置かれているところに直撃しなかったことだ。 万一、誘爆なんていう事態になれば、どれだけの犠牲者が出たかわからん。 さすがのハルヒもまいってしまっているのか、いつものような覇気が50%カット状態だ。 真剣に考えてくれるのはありがたいけどな。 「このままじゃまずいわね。何とか反攻作戦を練らないとね。 有希、さっきのミサイルみたいな奴がどこから撃たれたか、わかった?」 「この建物の北東に位置している北山公園の南部。屋上で周辺を監視していた人間から確認した。 ただし、具体的な場所までは不明。範囲が広いため、砲撃による反撃を行っても効果は薄い。 かりに砲撃で向こうと撃ち合っても勝てる可能性はきわめて低い」 的確な答えを出す長門だ。宇宙人パワーを失っても、長門本人の能力は失われていないらしい。頼りになるぜ。 「なるほどね。鶴屋さん、さっきそっちを襲った連中も北山公園に逃げ込んだのよね?」 『そうにょろよっ! でも、公園の北側に逃げていったように見えたっさ!』 ん? 鶴屋さんの言うことが本当なら、前線基地を襲った連中が学校へロケット弾やらミサイルでの 攻撃をした訳じゃないってことか? 「でも、簡単よ! 敵は北山公園にあり! だったら、こっちから出向いて北山公園全部を制圧すればいいだけのことよ! そうすれば、さっきの奴もなくなるしね!」 ここに来て突撃バカぶりを発揮するハルヒと来たか。しかし、間違ってはいないな。 どのみち発射地点を制圧するなり、さっきの攻撃手段をつぶすなりしないかぎり、一方的に攻撃を受け続けるだけになる。 「罠の可能性もありますね」 唐突にそう指摘したのは古泉だ。 「鶴屋さん部隊への攻撃は非常に小規模のものでした。そして、あっさりと撤退しています。 その次に北高へのロケット弾攻撃ですが、これも十発程度で終わっています。 本気で攻撃するのならば、もっと大量に撃ち込んでくるでしょう。あきらかに北山公園に我々を呼び込もうとしています」 「最初の襲撃に関してはそうかもしれないが、ロケット弾攻撃に関しては弾が尽きただけかもしれないぞ」 俺がそう反論する。ハルヒもうーんと同意のそぶりを見せた。ただ、古泉は、 「確かにその可能性はゼロではありません。しかし、これだけ有効な攻撃手段であるものを 序盤で使い切ってしまうのは、明らかに不自然と言えます。切り札を使い切ってしまったのですから。 無論、あれ以上の効果的な攻撃手段を保有していて、今回のロケット弾攻撃は挨拶程度のものという可能性もありますが」 どっちなんだ。はっきりと答えろよな。 「僕が言いたいのは、誘い込むための罠という可能性があるということです。北山公園に攻め込むことを決定する前に、 考慮していても損をすることはありません」 確かに古泉の指摘する可能性は十分にある。しかし、ここにいてもどうにもならんのも確かだ。 そうなると、ハルヒが導き出す結論は一つしかない。 「確かに古泉くんのいうことには一理あるわ。でも、このままだと攻撃を受け続けるだけだし、 そんなのおもしろくないじゃない。相手がびびっているのか知らないけど、遠く離れたところからこそこそ攻撃してくるなら、 こっちからぶっつぶしに行くだけよ!」 ほらな。ハルヒの性格を考えれば、じっとしているわけがない。古泉もひょうひょうといつものスマイルで、 「涼宮さんがそう決定なさるのなら、僕もそれに従いますよ。上官の命令は絶対ですから」 そうイエスマンへと転じた。ただ、こいつの指摘も無駄ではなかったらしい。 「でも、少しでも罠っぽい状況だとわかったら、即座に撤退するわ。その後は別の方法を考えましょ」 ◇◇◇◇ 次の議題は北山公園攻略作戦だ。この公園は南北に2キロ程度広がる森林のようなものになっていて、 南北の中間地点のやや南側には緑化植物園があり、公園入口っぽくなっている。 「やはり、突入ポイントはこの植物園でしょう。部隊の輸送には北高敷地内にあるトラックを使うことになるので、 車両で入れる場所が理想的です。当然、敵も同じことを考えているでしょうから、植物園奪取には激戦が予想されますね」 淡々と古泉のプランを聞いているSOS団-朝比奈さん+鶴屋さん。わざわざ敵が陣取っているような場所に 正面からつっこむのか。ハルヒが好みそうな作戦だな。 「悪くないわね。植物園を取ってしまえばこっちのもんだわ! あとはロケット弾の発射拠点を制圧して完了ってわけね! さっすが古泉くん! 副団長なだけあるわ!」 ハルヒの賞賛を一心に浴びて、古泉は光栄ですと答える。やれやれ、本当に突撃になりそうだ。 「で、誰の小隊が北山公園での掃討作戦に従事するんだ?」 「あんたと鶴屋さんよ」 とんでもないことをいけしゃあしゃあと言いやがる。古泉の野郎はどうするんだよ? 「古泉くんはいざって時のために前線基地で後方待機してもらうわ。あんたたちがやばくなったら、 すぐに駆けつけられるようにね。あと、伏兵とかが学校に奇襲を仕掛けてきた場合はすぐに戻ってもらうから」 どうしてそうなったのか聞かせてもらおうか。 「わかんないの? まず、あんたには鶴屋さんたちを襲った連中を追撃するために北山公園北部に向かってもらうわよ。 初めて遭遇した鶴屋さんがあっさりと追い払ったんだから、あんたでも大丈夫でしょ。鶴屋さんは一度だけとはいえ、 敵と戦っているわ。敵について知っているのと知らないんじゃ大違いよ。だから、南部のロケット弾発射地点に 向かってもらうわ。おそらくそこの守りが一番堅いと思うし。学校からトラックで向かうから、 途中で古泉くんと入れ替わってもらうわね。いい、鶴屋さん?」 『りょーかいりょーかいっ! 任せちゃってほしいなっ!』 「古泉くんはあんたよりも運動神経も思考能力も遙かに上よ。状況に応じて臨機応変に対応する必要のある場所にいるのが 最適だわ。あと、有希は学校に残って砲撃での支援をお願い。こっちから指示した地点に遠慮なく撃ち込んで。 古泉くん、有希、いいわね?」 「もちろん異存はありません」 「問題ない」 あっさりと同意する二人だが、ん、ちょっとまて。 「それなら植物園には誰が陣取るんだよ。まさか、空っぽにするつもりじゃないだろうな?」 「そこにはあたし自らが行くわ。あとで、適当な人員を集めるから」 ハルヒ総大将自らがお出ましか。だが、指揮官がそんな銃弾が飛び交う場所にいて良いわけがない。 「あのなハルヒ。以前にも言ったが、総大将がずけずけと前線に出るモンじゃないぞ。 おまえがやられちまったら、生徒たちを誰が――」 「異論は許さないわよ」 俺の声を遮ったハルヒの言葉は、今まで聞いたことのないような鋭さだった。ただ、怒りやいらだちからくるものではない。 強烈な決意がにじみ出るようなものだ。わかったよ。おまえがそういいなら好きにしろ。 しかし、俺の中にあるこのもやもや感は何だ? ◇◇◇◇ さて、作戦も決まったことなのでいよいよ決行だ。ハルヒ小隊の編成が終わり次第、出撃と言うことになる。 俺たちは校門に並べられた輸送トラックの前でそれを待っている。 「正直に言ってしまえば、少々不安ですね」 突然、こんなことを言い出したのは古泉だ。おいおい、出撃直前に不安になるようなことを言い出すなよ。 「涼宮さんがあなたが敵と確実に一戦交えるような場所に送り込むとは思っていませんでした。 てっきり学校に残して後方支援をさせたり、最悪でも僕のポジションが与えられるものだと。 涼宮さんと一緒に植物園にいるならまだ納得ができますが、あなた一人をそんな場所に行かせるとはね」 「はっきりと言え。時間もないことだしな」 「涼宮さんが現状をきちんと認識しているかどうか、ひょっとしたらあのコンピュータ研とのゲーム勝負程度として 考えているのではないか、そう思っているんですよ。あなたを危険な場所に向かうように指示したと言うことは、 あなたが死んでしまうかもしれないということを考えていない証拠です。信頼といってしまえば、それまででしょうけど、 今はそんな状況ではありません。鶴屋さんが敵を撃ったときに、まるでゲームキャラクターが消えるかのようになったと 言っていましたね。あれで僕たちもそうなのかもしれないと思いましたが、先ほどのロケット弾攻撃で 負傷した生徒を見るとどうも違うようです。確実に僕たちに『死』が訪れるかもしれません」 「確かにな。そんなに甘くないことは、俺も理解しているつもりだ」 ハルヒが今の状況をどう考えているのか。それはハルヒ自身にしかわからないことだろう。 だが、一つだけ言えることはある。 「俺がいえるのは、どんな状況であろうともハルヒは、誰かが死ぬことなんて望んでいない。 SOS団のメンバーならなおさらさ。万一、誰かが傷けられたら、ハルヒはやった奴をたこ殴りにするだろうよ」 「それはわかります。しかし――」 俺は古泉の反論を遮って、 「さっきのおまえの言い方だと、まるでハルヒは鶴屋さんならどうなっても良いってことになっちまう。 だが、断言できるがハルヒはそんなことなんて思ってもいないだろうよ。古泉も別にかばいたくて、 一歩下がった場所に配置したんじゃない。ただそれが適切だと考えたのさ」 ――俺はいったん話を区切って、話すことを整理する―― 「ハルヒはハルヒなりに考えたんだろ。どうすれば、このくそったれな状況を乗り切られるかを。 で、結論は戦い抜いて乗り切る。そのためには、一番信頼のできるSOS団の人間をフル活用する。 どうでもいいとか、たいしたことじゃないとなんて理由で俺たちを前線に持って行こうとしているんじゃない。 それが乗り切るためにはもっとも適切だと判断したんだろうな」 ガラにもなく古泉調の演説をしちまったが、古泉は痛く感銘したのかぱちぱちと手を叩きながら、 「すばらしいです。そこまで涼宮さんの思考をトレースできるなんて。どうです? これからは 機関への報告書作成をしてみませんか? 僕よりも適切なものが書けると思いますよ」 「全身全霊を持って断る」 そんな疲れるものなんてこっちから願い下げだ。 「おっまたせ~!」 と、ここで30人ばかしを引き連れたハルヒ総大将が登場――と思ったら、いつもつけている腕章が『中佐』になっている。 いきなり降格かよ。 「バカね! 前線に出るんだからそれなりに適切な階級があるってモンでしょ。大将とかってなんだかデスクの上に ふんぞり返って命令しているようなイメージがあるし。中佐なら、映画とかなんかでも前線でドンパチやっているじゃん」 ……まあ、それは別にかまわんけどな。 ハルヒが編成した連中はみんなクラスもバラバラ性別もバラバラだった。 大方、その辺りを歩いていた奴を捕まえてきたんだろう。にしては、結構時間を食っていたみたいだが。 「あー、ラジカセと音楽を探していたのよ。景気づけにワルキューレの騎行でも流しながらつっこめば、 敵も混乱するんじゃないかって。でも、ラジカセはあったんだけど、肝心の音楽の方がね」 ヘリで突入する訳じゃないんだから、別に必要ないだろ。心理作戦が通じるような相手でもなさそうだし。 ふと、気がつくと朝比奈さんと長門も校門前にやってきていた。おお、朝比奈さんに見送っていただけるとは光栄ですよ。 「古泉くん……どうか気をつけてね」 朝比奈さんのありがたいお言葉に古泉はいつものスマイルだけ返していた。まったく価値のわからない奴である。 「キョンくんも気をつけてね。無事に帰ってきてくださいね」 「ええ、がんばってきます」 と、そこに長門が割り込むように、俺をじっと見つめ始める。表情は相変わらずだったが、漂うオーラみたいなものは はっきりと感じ取れた。 「心配すんな、長門。なるようになるさ。支援よろしくな」 長門は俺の言葉にこくりとうなずく。やっぱり、親玉とのつながりをたたれて不安になっているのだろうか。 ややいつもと違う雰囲気を醸し出している。 「こらキョン!」 せっかくこれから戦地に向かう兵士が見送りをさせられる気分を味わっていたのに、それをぶっ壊したのはハルヒだ。 「なにやってんのよ! まさか、有希やみくるちゃんに『帰ってきたら~』とか言ったんじゃないでしょうね! それはばりばり死亡フラグなのよ! いい? あんたはあたしの下でビシバシ働いてもらうんだからね! 勝手に死んだりしたら絶対に許さないんだから!」 言っていることがよくわからん。もっとわかりやすく説明してくれ。 「要約すると、とっととトラックに乗りなさい! 出撃するわよ!」 やれやれ、なんてわがままな中佐殿だ。 まあ、出征前モードはここで終了だ。俺は大型トラックに自分の小隊を乗せるように指示し、 俺もそれに飛び乗る。いよいよか。しかし、ちっとも緊張しない上に、慣れた感覚に頭が満たされるのは、 相当俺の頭の中をいじくられていることの証拠だろう。当然、戦地に向かうってのに、 まるで何も反応を示さない俺の小隊もだ。おびえた表情を浮かべる谷口をのぞいてだけどな。 「よーし、出撃! 一気に北山公園に突入するわよ!」 ハルヒの威勢の良い声とともに、北山公園に向けトラックが発進した―― ◇◇◇◇ この時、俺はハルヒは状況を理解していて、これからどんなことが起きるのかもわかっていると思っていた。 だが、それは間違い――いや、正確にはハルヒは理解していたのかもしれない。間違っていたのは、 俺自身の認識だったんだ。ハルヒがどう思っているか勘ぐる資格なんてないほどにな。 ~~その2へ~~
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俺は、ハルヒの事が好きだが、告白するなんぞ出来ない…… 何故なら、俺はツンデレだと自覚している。 それなのに、いつものように生活している…… 「涼宮ハルヒの憂鬱キョンとハルヒの絆」 今の季節は夏、俺は今、学校へ行ってる所である。 谷口「よぅ!キョン!」 声掛けるな、暑苦しい 谷口「何言ってんだ?クールな口調になってるぞ」 なってない、なってない 場所変わって、教室 入ると、ハルヒがいる かなり暇なようだ 「よぅ」 ハルヒ「あ、キョン、放課後ミーティングあるからね、遅れないように!」 「はいはい」 と、言う時に岡部が来た 放課後、俺はいそいそとSOS団部室へ行った。 入る前にノックして入るのが俺のルールだ みくる「は~い、どうぞ」 我らアイドル、朝比奈みくるの声である。 う~ん、可愛い声ですね! 入ると、朝比奈さんと古泉と長門……そして、ハルヒがいた。 古泉「こんにちは」 長門「……(ゴクリ」 みくる「こんにちは、キョン君」 ハルヒ「遅い!ミーティングするわよ!」 やれやれ……挨拶無しですか、ハルヒさん いつものようにミーティングをやり、終わった。 そして、長門が本閉じた時が帰る時間になるのだ。 帰ろうと思ったのだが…… ハルヒによって呼び出された。 ハルヒ「キョン、あんたは残って……話したい事あるの」と言われた。 このまま、帰ったら死刑にされるから仕方なく了解した。 今、部室には俺とハルヒだけだ 「……」 ハルヒ「……」 「……」 ハルヒ「…ねぇ、キョン」 「何だよ」 ハルヒ「…あたしの事どう思ってるの?」 「?俺がハルヒの事どう思ってるかってか?」 ハルヒ「…うん」 唐突過ぎて呆然してしまった。 俺が、ハルヒの事どう思ってるのかって? ハルヒ「……」 「……」 ハルヒ「……」 長い沈黙である。何分経ったが分からないぐらいだった……そして、俺は沈黙を破った 「…最初は変な奴かと思った」 ハルヒ「!?」 「しかし、俺は、お前と一緒にいると楽しいと分かった」 ハルヒ「……キョン」仕方ない、ここで告白しようか……言うんだ!俺よ! 「……ハルヒ、俺はお前の事……」 キィィィィ…… な、何だ!?この耳鳴りは!? ???「やっと、見つけたね」 この声……まさか!? ???「やっと、見つけたね」 「お前はまさか……」そう、俺を2回襲い、殺そうとした………それが 「朝倉涼子!」 朝倉「当たり、流石、キョン君ね…私の事を覚えてるなんで」 「何で…何でこんな所にいるんだ!」 朝倉「私は、キョン君と涼宮さんに会いたかったの」 ハルヒ「朝倉さん、あんた、カナダへ行ったんじゃあ……」 朝倉「お久しぶり、涼宮さん……残念だけど、カナダ行ってないし……それに」 と、部室が異空間に変わった。 朝倉「私は普通の人じゃないわ」 「!?」 おぃおぃ、マジか? 朝倉がナイフ取り出したぞ…… ハルヒ「あ、朝倉さん……」 ハルヒは、呆然してるな… ま、仕方ないだろ?誰でも信じたくない出来事で呆然するのは当たり前… じゃなくで、こういう状況はどうすんだ……気付いてくれよ、長門! 朝倉「ふふふ……どうするの?」 くっ、逃げるしかないか…… おぃ、ハル…… ハルヒ「これは、どういう事?ねぇ、キョン!」 ちっ、ハルヒが混乱に陥ってるな… 「ハルヒ!逃げるぞ!」 ハルヒ「キョン!」 俺は、ハルヒの手を捕まって部室から逃げた。 とにかく、稼ぐんだ!時間を稼ぐんだ!長門! 朝倉「逃がしはしないわ」 逃げる、逃げる、とにかく逃げる…… …おかしい、階段が見当たらんぞ……これがエンドレス廊下かぃ! 笑えないな 朝倉「そう、笑えないわ」 いつの間に!? 朝倉「今度こそ、あなたを殺して、ハルヒを目覚めて貰うわ」 くっ、ここでゲームオーバーか! 朝倉「死になさい」 朝倉のナイフを俺の方へ投げる… ???「……させはしない」 この声は! 「長門!」 長門「…遅れてゴメン」 朝倉「ふふふ、まだ現れたね、有希」 長門「あなたは、私が消したはず」 朝倉「私は諦めない主義なんでね」 長門「あなたは、前より強くなった」 前より強くなった!?と言う事は、前のようには出来ないって事か!? 長門「…そう」 冗談じゃねぇ!と言う事は、この異世界から脱出するしかないのかよ! 長門「…そう」 朝倉「脱出しても無駄、私が追っかけるわ」 長門「…一つ出来る事ある」 「それは、何だ?」 長門が言ったのは、次の事である。 朝倉を無へ帰る事 つまり朝倉と闇に包まれた世界へ行けってか…… 「で、それはまだなのか?」 長門「……もう完了した」 なるほど、長門ってなかなかの策士だ。 長門「出口を開ける」 と、長門が呪文を唱えて、何も無い空間から出口が現れた。 「行くぞ、ハルヒ」 ハルヒ「う、うん」 ハルヒを出口まで連れて行く時に、突然、キョンは腕を捕まれた 朝倉「させない」 キョン「な、放せ!」朝倉「暴れても無駄よ」 ハルヒ「キョン!」 くっ…………仕方ない… 「ハルヒ!長門!出口まで走れ!行くんだ!」 ハルヒ「で、でも!」「行くんだ!」 ハルヒ「……分かった、行こ、有希!」 と、ハルヒは、長門を連れて走った… そう、それでいい… 朝倉「何をする気?」「お前を、道連れしてやる!」 朝倉「ま、まさか!?」 周りの空間が闇に染まって来る ハルヒ「キョン!何してるの、早く!」 ハルヒ、長門…脱出したな… 長門「…キョン」 寂しがるな、長門… ハルヒ「キョン!ねぇ!」 ハルヒ…今までありがとな… 「っ!ハルヒ!お前は、俺の……」 ハルヒ「キョーンッ!」 ――恋人だ 異世界の扉が閉ざされ、元の部屋に変わった。 そして、キョンは行方不明に… キョンが消えた… あたしが好きだったキョンが消えた… 「有希!キョン救えるでしょ!」 長門「…救える確率は低い」 「そ、そんな!?」 長門「彼の事は、病気という理由しておく」 「……」 長門「…ゴメン、ゴメンなさい」 「!ゆ、有希…」 泣いてる…あんな無感情だった有希が無いてる 「あ、あんたは悪くないのよ…有希、いいの、自分で責めないで…」 長門「うん…でも、ゴメンなさい」 「いいの!二人で救う事だけ考えようよ……うっ、ううっ…」 長門「……」 お互い、抱き合って泣いた…神はあたし達を見守ってるだろうか… 次の日 岡部「えー、●●●は病気で欠席だ」 クラス一同「エェーーッ!?」 ……キョン キョンの机… キョンの置き勉… …キョン 「よぉ!」 「映画、成功しよう!」 「やれやれ…」 「SOS団の事頼むぜ」 「俺、実は…ポニーテール萌えなんだ」 「ハルヒ、それ似合ってるぞ」 「ハルヒ、ハルヒ、ハルヒ……」 会いたい、キョンに会いたい… 阪中「どうしたの?ハルヒさん……泣いてるの?」 え、泣いてる? あたしが泣いてる…… 会いたい、キョンに… 授業が終わり、放課後になり ハルヒは部室へ行き、古泉やみくるに昨日の事を伝えた。 みくる「そ、そんな…キョン君が…」 古泉「キョンさんが行方不明に…」 二人も驚いてた。仕方ない事だったのよね…いえ、仕方なくない! 長門「ゴメンなさい」 「有希は悪くないのよ、全て…あの子が悪いのよ」 長門「……」 あたしは、信じてる…キョンは今どこにいるかを! それに… 「古泉君、みくるちゃん…あんた達は、やっぱり…」 古泉「…気付いてたのですか?」 みくる「そうです、私は未来人です」 そっか…有希が宇宙人だとすれば、この人達は…と思ってたけど… あの時、キョンが必死に言ってたのはこれだったのね… 「…古泉君、みくるちゃん、有希、あたしは何者なの?」 みくる「あなたは…時間を変える能力あります」 長門「こっちは、三年前…情報を爆発させたのは…あなた」 古泉「しかし、我々…『機関』では、あなたの事を「神」だと思ってる者がいます」 つまり、あたしは何者がはっきりしてないって事ね 古泉「恐らく、そうなります」 ん?と、言う事は 「あの時…そう、キョンとあたしがいた空間はもしかして?」 古泉「空間?巨人がいっぱい出て来た空間の方ですか?」 「うん、そう」 古泉「あれは、「閉鎖空間」と言われる空間なんですよ。あなたのイライラで発生した空間です… あの巨人は「神人」と呼ばれる者なのです。アレは、あなたの不機嫌で出来た者達…あなたは夢だと思ってますが、違います。」 「え!?じゃあ…アレは…夢じゃないって事?」 古泉「えぇ、そうなります」 な、ちょ…え!?うそ!?あのキスはゆ、夢じゃないの!? 古泉「何があったか知りませんか、夢ではなく現実です。あなたの不機嫌が爆発したら…ここは無くなる可能性あります」 え?あたしの不機嫌で世界が無くなる? 「それは、世界崩壊って事なの?」 古泉「…はい」 そんな!あたしは知らないまま生きてたと言う事なの… みくる「涼宮さん、あなたは知らないまま生きて欲しいと望んで来ました…まさか、この時に告白するとは思いませんでした …すみません」 「みくるちゃん…いいの、あたしは気にしてないわ」 長門「私はあなたを守る」 「ありがとう、有希…ありがとね…」 と言いながら、あたしは、ふと、窓の方へ見た… 橙色で染まってて美しかった。 キョン、今どこにいるの… ???「うっ…こは、ど…だ…さ…い…みん…会い…い…ハ……ハル……ルヒーっ!!」 ハッ!? …ゆ、夢か… あれから、一ヵ月後…あたしは元気になって通っている。 でも、家では元気じゃない… 泣いた日だってある… 「んー?何だったのかしら?あの夢…」 時々、声が途切れて、何で言ってるのか分からなかった… なのに、どこが…懐かしい感じがしたわ… 何だったのかしら? SOS団室 「やっほー、みくるちゃん!お茶!」 みくる「は、はい…ちょっと待って下さいね」 みくるちゃんのメイド姿を見ると、嫌な夢忘れられるわ… 古泉「こんにちはー、おや?ハルヒさん、今日も大丈夫ですね」 「あったり前よ!それに比べて、キョンなんか…あ…」 古泉「…すみません」 みくる「…お茶置いときますね」 「あ、うん…」 そっか、今はキョンいないんだ…あたしって、まだ思ってるんだな… 「……キョン…」 まだだ、あたしって弱くなったな…キョンがいたら、きっと笑ってしまうよね 長門「……」 古泉「おや?長門さん、顔色が悪いですよ…大丈夫ですか?」 長門「う、うん…」 みくる「本当に大丈夫なんですか?」 長門「大丈夫」 と言って、立ち上がった。 古泉「おや、帰るんですか?」 長門「…(ゴクリ」 と、有希は歩き出した途端 「…ぁ…」 ドサッ! 有希が倒れた… 「!…有希っ!有希!有希!」 みくる「有希さん!」 古泉「保険室へ行きましょう!」 保険室 「有希、どうしたのかしら?」 みくる「そうですね…」 シャッ カーテンを開く音だ。 古泉「先生から聞きましたが…長門さんは、寝不足に疲労が溜まってたんですよ」 「寝不足と…」 みくる「疲労?」 古泉「えぇ、そうです」 「な、何で…有希が?」 古泉「…ハルヒさん、心当たりありますか?」 心当たり?……まさか… 「ずっと、キョンを探してたの?」 古泉「……」 みくる「……」 有希…有希も、まだキョンの事を… 「有希…何で、何で…あたし達と相談しなかったのよ…ズルイわよ!あたしは、団長なんだからね!…うっ、うっううっ…」 みくる「ハルヒさん…」 古泉「……」 有希は、今も寝てる…優しい天使の様に …よし、決めた! 「皆!よく聞いて!」 古泉「はい?」 みくる「何ですか?」 「あたし達と一緒にキョンを探そう!きっと、どこかにいるわ!」 みくる「涼宮さん…」 古泉「これは、良い決心ですね…僕も探しましょう」 「皆、頑張ろうね!」 長門「私は…まだ諦めてない…私も探す」 と、有希は起きてた 「有希!ちゃんと寝ないとダメよ!」 長門「大丈夫…時間を早くした…もう平気」 有希… みくる「行きましょ!」 みくるちゃん… 古泉「僕も一生懸命、探しますよ」 古泉君… ???「ハルヒっ!」 「!…え?」 周りを見ると誰もいない… どういう事?あ! (???「ここは、どこだ…寒い…皆に会いたい…ハルヒ、ハルヒ、ハルヒーっ!」) あの夢、まさか…キョン!? 皆に、夢の事を話すと 古泉「夢の中にキョンさんか?」 みくる「まさか、キョン君は…今、そこにさ迷ってるって事?」 「かもしれないわ…キョンは多分…」 長門「その可能性ある」 古泉「……」 みくる「……」 「…有希、何とか出来ないの?」 長門「ある」 古泉「え?それは…まさか?」 みくる「どういう事ですか?」 「古泉君、何か分かったの?」 古泉「…閉鎖空間へ行き、欠けた場所あれば…そこが異空間の入り口です」 欠けた場所? 「はい、例えば…そこに壁があるとすれば、閉鎖空間では壁では無くなってる…と言う事です」 つまり、あった物が無いとすれば、そこが異空間への入り口って事ね 「で、どうやって行けるの?」 古泉「ご安心を、僕の出番ですから」 古泉「ここでいいでしょう」 ここは、校庭…何でこんな所に? 「って、ここで何か出来るの?」 古泉「はい…その前に、あなたに言いたい事あります」 「何?」 古泉「僕とみくるさんに、長門さんは行けません…何故なら、あの空間はあなたの物ですからね」 「……」 古泉「一人で探せますか?」 「探せるに決まってるでしょ!」 古泉「そう聞いて、安心しましたよ…さぁ、目を瞑ってください」 目を瞑る?取りあえず、言われた通りにやるしかないわね… 古泉「失礼ですか、手を貸しますよ?」 「うん」 一歩、二歩、三歩… 古泉「目を開けて下さい」 ……ここは、閉鎖空間ね 古泉「後は、頑張って下さいね」 と言い、古泉君は消えた… …さて、キョンはどこにいるのかしら 一年五組の教室… 保健室… 食堂… トイレ… 屋上… 体育館… 色々、探したけど…見つからなかった… 「ふー…ここにも無いわね…と言う事は…SOS団室だけか…」 SOS団室のある校舎へ行き、階段に登り、到着した。 ここなら…見つかるはず…お願い! と、あたしは思いながら開けた… 何にも無い… 「う、うそでしょ…どこにも無いわよ…」 ん?何か…何か変ね… ロッカー…コスプレ服…盤ゲーム…お茶入れ…ヤカン… あ、PCが無い… 「どういう事?」 よく調べると…PCがあった机の向こうに入り口あった… 「入り口から見れば無かったのに…後ろにあったなんで…」 そう、そこが異空間への入り口… 何だが、怖い…怖くで行けないよ…キョン…あたしは本当は気が弱いのよ…キョン… 「うっ…ううっ、ひっ…怖いよぉ…」 カダンッ! 「ひっ!……な、何?」 周りを見ると、床に何か落ちてた… 「…これは…」 よく見れば、キョンの鞄だった… キョンが行方不明になって以来、鞄をおばさんや妹ちゃんに返してなかったっけ… キョン… 「ん?鞄の下に何かある…」 と、鞄の下にある物を取って見ると… 一冊のノートだった… 「何で、こんな物か?…日記?」 ノートの表面にデカデカと「日記」と書かれてあった… とにかく、開いて見る ○月○日 変わった女がクラスにいた。そいつの名は涼宮ハルヒ。 しかし、可愛かったな…ポニーテールすれば物凄く可愛いよな ○月○日 ちょっと話し掛けてみた…すぐに終わっちまった… まったくよ、こんな可愛い子がいるのに勿体無くね? ○月○日 ハルヒを観察したら、分かった…こいつ、曜日ごとに髪型を変えてるな…うむ、面白い ○月○日 SOS団か…まぁ、仕方ないか… 間違った方向へ行かなきゃいいんだがね… キョン…こんな事を日記書いてたの? ○月○日 夢を見た…ハルヒとキスする夢を…うわぁ、恥ずかしい!フロイト先生が笑ってしまうぐらい恥ずかしい… でも、味が良かったな… キョン…嬉しかったの? キョン… 最後まで読もう… ふー…次のページへ行くかな… ベラ・・・ 「ん?これは…最近の」 ふと、手が止まった… ○月○日 ハルヒを見て思った…ハルヒは確かに可愛い。 怒る顔も可愛かった…だけど、ハルヒと一緒にいるだけで楽しい… だから、俺はつい嬉しくなる…ハルヒはハルヒらしく行動してくれると俺は安心する… めちゃくちゃな行動をするハルヒが好きだ。気が強いハルヒも好きだ。 俺は、素直に「好きだ」と言えない…それでも、愛してる… ハルヒ、気付いてくれるのだろうか… キョン…あたしの事をそう思ってたの!? 「キ、キョン…あぁ、会いたい!会いたいよ!…気が強いハルヒが好き?…でも、あたしは…本当は、気が弱いのよ!」 あたしは、泣いた…物凄く泣いた…会いたくでも気が弱いまま… (キョン「ハルヒ、お前は!俺の……」) !? (――恋人だ) キョンは、こう言ってたわ…あたしを恋人してくれたんだ…あたしは、頑張るよ!いつまでも気が弱いままじゃダメだよね…キョン、待ってて!) と、あたしは異空間へ入った。 暗い… 上と下が分からない… 寒い… キョン…どこにいるの… フワッ! あたしがいた暗かった異空間が、いきなり明るくなった。 「な、何なの?」 ここは、あたしが通ってた東中… そして、今いるのは、校門の辺り… 「…!!」 「……!」 校庭の辺りに声が聞こえる… あたしは、そこへ行って見た 「あ、あれは」 そう、あたしが見たのは…中学校頃のあたしと…ジョン・スミスだった。 どうやら、線引きをやってる最中だった。 どうやら、線引きが終わったようだ 「ねぇ、あんた。宇宙人、いると思う?」 「いるんじゃねーの」 「じゃあ、未来人は?」 「まあ、いてもおかしくはないな」 「超能力者なら?」 「配り歩くほどいるだろうよ」 「異世界人は?」 「それはまだ知り合ってないな」 「ふーん」 あの男…確か… 「ま、いっか」 「それ北高の制服だよね」 「まあな」 「あんた、名前は?」 「ジョン・スミス」 ジョン・スミス!?ジョン・スミス…まさか…キョン? そうか、キョンは3年前へ行ったんだ… キョン…あたしの知ってるジョン・スミスだったんだ… その後、昔のあたしとジョン・スミスが去った後、校庭へ行った。 そっか、これを書いたのは…キョンだったんだ… ありがとう、キョン… と、その時にあたしの後ろから光が放った。 「え?」 あたしは、振り向いた その光が人の姿に変わった…そして、光が消えた。 「え?あ…」 目の前にいた…あたしの会いたい人がいた… キョン「久しぶりだな、ハルヒ」 ハルヒ「キョン!」 あたしは思わずキョンへ駆け寄り、抱き付いた… 「会いたかったよ!キョン!」 キョン「スマンな、心配掛けて…」 いいの…キョンがいたから、謝らなくでいいの! 「キョン…」 キョン「…ここは、3年前の七夕だな」 「うん」 キョン「さっき、気付いたんだろ」 「うん!」 キョン「……」 ハルヒ「……」 お互い見つめ合ったまま、動かない… キョン「ハルヒ、ただいま」 ハルヒ「おかえり、キョン」 ???「あら?いい雰囲気ね」 !?あの人が来た!?学校の屋上? と、二人は学校の屋上を見る キョン「いい加減しろ…朝倉涼子!」 朝倉「あら、張り切ってるね?キョン君」 いきなり、キョンサイドへ切り替わりまーす! 朝倉「ふふふふ…どうするの?」 ハルヒ「キョン…」 あぁ、大丈夫だ!ハルヒ、俺が守ってやるさ 「朝倉!俺は思い出したぞ」 朝倉「何を?」 「長門から聞いた事ある。この異空間は自分の意思で物を変えれると聞いた! だが、それも条件あるんだろ?」 朝倉「あら、有希ってお喋りね」 「その条件はここの異空間とはピッタリらしいな?しかも、この異空間はコンピュータ世界だろ?」 朝倉「で、それがどうしたの?まさか、物を出すとか?」 「大当たりだ。普通の人でも出せるらしいよな?だったら!」 俺がイメージした通りに物が現れた…それは銃だった。 それを取って、素早く構えた。 「もぅ、お前の思い通りはさせねぇ!そして、お前を撃つ!」 朝倉「!?」 「……」 朝倉「ふふふふ、あーっはははは…この私に何か出来るというの?」 朝倉「ふふふふ…行くよ!」 と、朝倉の手からナイフが出て来た。 「くっ!」 銃で防御する俺 ハルヒ「キョン!」 「ハルヒ!お前は隠れてろ!」 ハルヒ「う、うん」 キン! 朝倉「ハルヒを逃してどうするのよ?キョン君!」 キン! 「ハルヒは俺が守る!朝倉、お前がやってる事は間違ってる!」 キンキン! 朝倉「それがどうしたのよ!私が間違ってる?それは無いわ」 キンッ! 鍔迫り合いする両者 「それは、お前のエゴだって…分かってるのか?」 朝倉「さぁ?分からないわ」 「ふざけんな!」 と、俺は弾き返した 朝倉「私は、ふざけてないわよ?」 朝倉「あなたがいる世界はつまんないでしょ?」 「つまらくはない、むしろ、楽しいさ」 朝倉「あら?我慢してるの?」 「…俺は、ハルヒがいる世界が好きだ…だが、お前が思うような世界は欲しくない」 朝倉「あら、ハルヒ、ハルヒって言うけど、そんなに好きなの?」 と、朝倉は「やれやれ」のボースをしてる。 「確かに、好きだ…あいつは気が強くでも、本当は気が弱いところがある…それでも守りたい…」 朝倉「ふーん…」 「ハルヒはハルヒだ、お前の思うようにはさせない!」 朝倉「でも、もう遅いよね…どの道、あなたが死ぬのだから」 「それはどうかな?」 朝倉「え?影?まさか!?」 朝倉は、月の方へ振り向いた 「遅かったな……長門!」 そう、月を背景して現れた 長門「情報結合の解除を申請する」 と長門が言うと、朝倉のナイフが消えた 朝倉「そ、そんなバカな…」 説明しよう!キョンは戦略を考えていたのである! 銃を出した後、長門の事を思い浮びながら戦ったと言う事だ! 時が来たら、それを実行したのがキョンの策…流石、策士は伊達じゃないぜ! 朝倉「くっ…」 朝倉は、少しよろめく 「朝倉!お前の負けだ!」 と、銃を構えた 朝倉「くっ!これが私の負けなのね…」 「朝倉!これで…終わりだぁっ!」 と、銃の引き金を引く バァン… 朝倉「あぁ…私の…ま…けね…」 朝倉は涙の泣かしながら、結晶化になり…消えた。 「…長門、ありがとな」 長門「…(ゴクリ」 …さて、ハルヒの所へ行くか… キョン…あんたの想いは分かったよ… あたしの想い…キョンの想いは繋がってたんだね… キョン「ハルヒ!」 「キョン!…戦いは終わったの?」 キョン「あぁ、終わったよ」 「……」 あれ?何で有希がここに? 長門「私は、ここから出る…後は、あなた期待」 と言って、消えた。 あぁ、CGが何かのプログラムかな? キョン「…ハルヒ、ここで言わせて貰う」 「何?キョン」 俺の想い…まだ変わってない…今なら言える! 「ハルヒ、お前の事好きだ!付き合ってくれ!」 キョンの想い…確かに受け取ったよ…あたしの想い受け取って… 「あたしも好きだよ!あんたじゃないと…ダメなんだからね…」 ハルヒ、確かにお前の想いは受け取ったよ… 「ありがとう、ハルヒ」 ハルヒ「こっちもありがとう、キョン」 「ねぇ、キョン」 「ん?何だ?ハルヒ」 「キ、キスしてくれない?」 「…あぁ、するよ」 と、お互いの唇が重なる ハルヒは可愛い。 キョンは優しい。 何かあろうと守ってみせる。 何かあっても守りたい。 そして、俺は…それぞれの想いを今、一つになる。 そして、あたしは…それぞれの想いを今、一つになるよ。 俺は、あたしは、愛されるより愛したい。 そして、生きて行きたい。 ――永遠に エピローグ あれから、一週間後…あたしは元気に通ってる。 キョンに会いたいから楽しみに通ってる。 俺は、ハルヒに会うため楽しみに通ってる。 色々あったけど…これで、恋人同士になるな… 「おぅ、ハルヒ」 「あ、キョン」 俺は守りたい奴がいるから… あたしは会いたい人がいるから… 「おはよう!」 「おはよう!」 俺たちは あたしたちは 強い絆を結ばれているから 完
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おいおい、何なんだこれは…………… やれやれ、非常識な事に慣れたとは言えこれはパニックになるぞ。 俺は額に手をやり、ため息をついた。 朝、今日は妹のうるさい攻撃が無いなと思い。 やっとあいつも大人しくなったかと思って体を起こすと、毎朝見慣れている俺の部屋ではなかった。 かといって閉鎖空間っぽい雰囲気の学校に飛ばされたわけでもなく、 時間を越えたわけでもないし、別世界に行ったわけでもなさそうだった。 上の3つはまぁ、俺の希望的観測であるだけな訳だが。 目の前には見る限り生活感のない殺風景な部屋、俺が知る限りでは長門の部屋以外には考えられなかった。 なんで俺がこう皮肉臭く言っているのかというのであれば、体がどうもその部屋の主の姿になっているようだったからだ。 そう、俺は長門になってしまったらしい。 俺が長門になっているなら、俺はどうなっている。 そう思った俺は、学校に登校することにした。 どうやら長門は制服のまま寝ていたようで、着替える手間がかからなくてありがたかった。 学校に着いた俺はすぐさま、俺がいるはずの自分のクラスへ足を向けた。 教室をのぞくと、その席は空席のままだった。 教室で話しているやつを捕まえて、聞いてみたが 「まだ来ていない」との事だ。 ついでにハルヒも来ていないかと聞いたが、同様の返事が返ってきた。 とりあえず、この状況を打破したい俺は教室から背を向け。 その足をいけ好かない笑顔の超能力者のいるクラスへ向けた。 1年9組に足を運んだ俺は、古泉がいるかと教室の入り口側に立っていたやつに聞いた。 「あー、古泉君?いるよ、ちょっと待っててね」 そういうとそいつは、古泉くーん女の子が呼んでるよーと叫びながら 古泉の場所へ向かっていった。 目の前に来た人物は、いつものへつら笑いをせず無表情のままであった。 それをみて俺はこの非常識な現象をあと3回見るのであろうなと盛大にため息をついた。 「お前は長門か」 「……………」 しばし沈黙の後、ある意味もう見ることのできないであろう 無表情の古泉はこくんと頷きこう言った。 「…………そう」 「とりあえず、昼に部室に行こう ほかのやつらもどうなっているかわからないしな」 「……………」 古泉の姿をした長門は、もう一度頷きおそらく古泉の席であろう場所へ戻っていった。 それを見届けた俺も長門の教室へ行き、教えてもらった席へ座り一通り授業を受けた。 幸か不幸か、普段から無口な長門の振りをしたまま授業を受けるのはそう難しくなかった。 授業の合間の休憩時間にもクラスメートから話しかけられる事は皆無だ。 休憩時間中に自分のクラスに行きたい衝動に駆られたが。 時間が短いこの時間ではやれる事も少ないので、昼休みまで俺はじっと我慢をした。 4時間目のチャイムが鳴り終わったあと、席を立ってすぐさま部室へと足を向けた。 長門ととりあえず話をするためだ。 まぁ他のメンツにも異常が起こっているなら、部室へ来るだろうと思ったのもあるわけだが。 部室を開けようとドアノブに手を触れようとした時こちらに向かって走ってくる人物がいた。 朝比奈さんだが、何かが違う。 「有希~~~~~!大変よ大変!!」 大変と言いつつもその目はキラキラと輝いている、この顔をする人物を知っている。 「あたし、みくるちゃんになっちゃったみたい!! もしかして、有希も違う誰かになったりしているの!?」 息を弾ませながら、こちらを見る。 たしかに、朝比奈さんはこんなハイテンションにならないからな。 こんな朝比奈さんを見るのも、おもしろいがそれではダメだ。 俺の朝比奈さんはおっとりしてて、ちょっとドジで、ほんわかとした笑顔を振りまいてくれる朝比奈さんじゃないといかん。 ハルヒ……………、お前は朝比奈さんになったんだな。 「って、キョン~~~~~!?」 朝比奈さんの姿で絶叫した声は、外で歩いている人物がビックリするほどの大きなものだった。 「なんでこうなっちゃったのかしらね!!」 「キョンと私と有希が入れ替わったって事は、古泉君とみくるちゃんも変わったかもしれないわね!」 「そうだ!みくるちゃんの格好だし、コスプレしてみようかしら!」 etc、etc……… 弾丸のように朝比奈さんの声で、俺の耳に入ってくる。 長門は姿が変わっても、部屋の隅で本を読んでいる。 古泉の姿でやられるのは、不気味とも思えた。 やれやれとため息をついていると、ガチャと扉が開いた。 入ってきたのは妙におどおどしてなみだ目のハルヒと、いけ好かない笑顔をしている俺だった。 「ふぇぇ………、一体どうなっているんでしょう」 泣きそうなハルヒ、いや朝比奈さんか。 一生で見られるか見られないか判らないような珍しい光景を今日一日で一生分見たような気がしてきた。 「いやはや、これは5人が入れ替わってしまったみたいですね」 俺の姿をした、古泉は笑顔を崩さずにそう言った。 どうでもいいが、俺の顔でそんな顔をすると気持ち悪いからやめてくれ。 「おやおや、と言われてましても困りましたね」 「そんな事どうでもいいじゃない!! いまはどうやって元に戻るのかが大事よ! みくるちゃんの体もいいけど、やっぱ自分の体が一番だしね!」 と会話しているところに、ハルヒが大きな声でみんなを制す。 「おい、これは一体どういうことなんだ」 俺は小声で古泉に話しかける。 「さぁ、僕にはわかりかねますが。 おそらく何か外因的な要素の所為で入れ替わってしまったんだと思います」 俺はその外因的な何かが何なのかと聞いているんだが。 「詳しい事はわかりません、涼宮さんが願ってしまってこうなったのかもしれませんし。 精神を入れかえてしまって、涼宮さんの能力を無効化してしまおうと情報思念体の急進派が行ったことかもしれません」 俺は本を読んでいる、長門の方に体を向けた。 「お前はこの現象はどうなのか説明できるか?」 「……原因不明。 情報思念体とコンタクトも取れない」 じゃあ俺が取れるってか? 「おそらくそれも不可能………。 長門有希としての個体能力は、一般人並になっている。 そのため情報思念体としての能力は使えない」 「なるほど、長門さんの精神を別の固体に入れることで能力を封印させているわけですね」 古泉がそれに返答をする。 長門なら何とかしてくれると思っていたんだが、この分だと古泉の超能力にも朝比奈さんの力も使えないんだろう。 その事実に俺は愕然とした。 「何こそこそ話してんの!! とりあえず、ここでグダグダやっていても仕方ないし放課後にもう一回集合しましょ!! じゃあ授業終わったら、みんなここに集合ね!」 わくわくした様子のハルヒがそう言って、みんな部室を後にした。 とりあえず午後の授業を受けて、今後のことを相談するんだそうだ。
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涼宮ハルヒの出会い 『アイツノソンザイ』 「おまたせー!皆朗報よ!聞いてちょうだい!」 またか…何度も何度も自分に言い聞かせるようだがいつ聞いてもいやだな… いつからだろうな…朗報という言葉に嫌気を感じるようになったのは… 「今度はなんだ?」 「あっキョンいたの?聞いてちょうだい!」 いたの?じゃないだろ!俺がいるから言ってきたんじゃないのか? 今日は俺だけの参加のはずだぞ? 「お前な…朝比奈さんたちは今日は不参加って聞いてなかったのか?つまりだな…」 「分かってるわよ!もうちょっとした冗談じゃない!いちいちつっこまない!」 俺がつっこまないなら誰がつっこむんだ… なんて事は言わない方がいいよな、まぁなんだ話だけは聞いてやるか 「で何だ?」 「あっそうよ!聞いて頂戴!本当は皆がそろってるときがいいんだけど今日は仕方ないわ」 「我がSOS団が結成されてからどれくらいたったか覚えてるかしら?」 そういやこんなふざけた団体はまだこうして活動しているんだよな となると半年くらいか、ずいぶん長い間無茶もしたもんだ 「で、それが朗報と何が関係あるんだ?」 「もう、ここまで言って気がつかないなんて本当に使えないわね!」 「記念パーティーよ!パーティー、もう半年になるのよ!?めでたいと思いなさい!」 おめでたいと思うのはお前の頭の中身だよハルヒ…とまぁなんにせよパーティーだと? どこでするつもりやら…どうかまともな場所でありますように… 「それで場所なんだけどね、やっぱりSOS団の記念ってことだし部室でっていうのはどうかしら?」 …我が家じゃなかったことには感謝しよう、だが部室? そりゃ問題ありまくりだろ…とまぁつっこんでもしかたないがいちを言っておくか 「学校は流石にまずいだろ?もっと他の場所しないか?」 「じゃあどこがいいのよ?」 そうなりますよね…とまぁ一通り考えたが誰かの家くらいしか思い浮かばないな… うーむ、まぁ今回はまともな朗報だったことだし少しくらい無茶に付き合ってやるか 「そうだな、誰かの家だとその人の家に迷惑もかかるかもしれないし今回は学校でもいいかもな」 おい、意外そうな顔をするな、そんなに俺がお前の意見に同意したのが気に食わないのか? といいたくなるくらいの驚きの表情を見せたハルヒなんだが… 「以外ね、熱でもあるんじゃないのかしら?」 「まっいいわ、じゃあ決定ね!明日みんなに話しましょう!もちろん放課後まで皆には内緒よ!」 といってハルヒは部室から出て行った つーこは解散か?まぁ帰るとしますか てなわけで今日は珍しく早く帰れることになった、まぁ明日のことを考えると… えぇい!やめやめ、今日はゆっくり休むことにしよう…考えるだけで疲れる あいつ喜んでくれたかな?いっつも無茶につき合わせてたからたまにはこういうのもいいわよね うん、きっと楽しんでくれるわよ! 明日は皆にも伝えて準備もしないとだから忙しいわ!今日はやめに寝ときましょう ………………ジリリリリリ バンッ 「うぉっ!」 「おっはよーキョン君!」 妹よ…おはようという表現はいささか間違いかもな… 下手したらおやすみだぞ… 「なぁ?何度言えば分かってくれるんだ?せめてもう少し優しく起こしてくれてもいいだろ?」 「えへへ、でもこうしないとキョン君おきてくれないよ?」 反論できないな…うーん自分の目覚めの悪さを恨むぞ と悠長なことはいってられないな、さっさと朝飯を食って準備した俺はいつもの ハイキングコースにいくことにした、この坂はどうにかならないかね… もう秋かと思わせる足はやな紅葉 これが唯一の救いだな とかとか考えているうちに学校だ、さーて今日の団長さんは何を考えてることやら… とまぁ教室にはいったら人目もくれずに 「キョン!今日は放課後付き合いなさい!いいわね!」 それはどっちの意味ですか? 「何がよ?」 いやデートか果し合いなのか 「バカ、昨日のこと忘れたの?」 覚えてますよ、分かった、だからそうふてくされるな 「悪い悪い、冗談だよ、で今日必要なものでも買いにいくのか?」 「もう、いっつもそうなんだから、そうよ!善は急げって言うでしょ?」 「そりゃそうだが昨日の今日ってちょっと急ぎすぎじゃないか?」 「いいの!あんたは黙ってついてきなさい!」 はぁ…まぁ分かりきっている答えなんだがこうなんでいつもなれないものか… 俺の免疫組織はきちんと働いてるのかね?ご主人様のピンチなんだぞー とバカなことを考えているうちにチャイムがなった 急いで席にすわってからは後ろの団長様はさぞ満足したかのように大人しかった 「…珍しいな」 「ん?何かいったかしら?」 「いやなんでもないぞ」 「そう」 今日はちょっと眠いわね…昨日夜中まで起きてたのがまずかったかしら… まぁキョンに用件は伝えたしちょっと寝ようかしら 「……ぉぃ、ハルヒ!ぉぃ…」 ん?キョン? 「あっおはよう、どうしたの?」 「どうしたのじゃないだろ、もうとっくに授業は終わったぞ」 えっ!1時間も寝ちゃったの?まずいなーまぁいいわ 「そう、でどうしたのかしら?」 「ん?自分で言ったことも忘れたのか、何か俺に用事があるんだろ?」 え?まさか!? 「はぁ…お前あれからいくら起こしても目をさまさないから大変だったぞ、今は放課後だ」 「だー今日は仕方ないわ!たまにはそういうこともあるのよ!」 「そうかい…」 笑うなバカ!でもそんなに私寝てたんだ…あぁキョンに寝顔みられたかな? ちょっと恥ずかしいな、変な顔してなければいいんだけど 「じゃ、早速だけどいくわよ!」 「おいおい、いくって何処にだ?場所は決まってるのか?」 「えぇ、材料は当日買うとして今日は小物買いにいくから街までいこうって思ってたの」 「そうか、じゃあ早速いくか」 キョンは準備が終わってるみたい、私も急がないと! そんなこんなで電車にのって街まできたのはいいけどこれってデートなのかな? ちょっと恥ずかしいな、制服っていうのがな~雰囲気でないけどまぁいっか! キョンも意識してるのかしら?ちょっと恥ずかしそうね 「ねぇあそこのお店どうかしら?」 「いいんじゃねーか?」 「もう気の抜けた返事ね、まぁいいわ、いくわよ」 中はいい感じに古ぼけたお店だった、どうやら個人店らしく仲がよさそうな老夫婦が経営してるらしい 物は良心的な値段でどれもいいもの安くって感じね 「これなんてどう?これもいいわね!あっキョンアレとって頂戴!」 「もう少し落ち着けよ…で、これか?」 なんだかこんなの始めて、すごく楽しい! 色々買えたし満足だな~ちょっと買いすぎちゃったかな? 「ありがとうございました、荷物多いようだけど大丈夫かい?」 「あっ大丈夫ですよ!こいつにもたせますから!」 「そう、彼氏さんも大変そうだね、今荷物をまとめてあげるからちょっとまってね」 えっ!カップルに見えたのかな?否定し…とかないであげるわ キョンもちょっと気まずそうにしてるし、今日は特別なんだからね! そんなこと考えてるうちに荷物がまとまとまったみたい 「「ありがとうございます」」 お礼をしてお店をでた、うまくおじいさん達が荷物をまとめてくれたから キョンも持ちやすそうね、あんた感謝しなさないよ?なんて思ってたらキョンから話かけてきた 「なぁ、さっきのおじいさん達いい人達だったな」 以外、カップルに間違われたことを言われるかと思ったけどそうじゃなかったみたいね 「そうね、これだけ買ったのに3000円ですんだのもびっくりよね、サービスしてくれたのかしら?」 「はは、だといいな、なぁハルヒ…そのあれだ、また一緒にこような?」 えっ?以外だった、キョンからそんなこと言われると思ってもなかったし それよりキョンにまたデートしようって言われたのがうれしかった いや、デートなのかな?これは…でも二人でまた一緒に遊べるならいいかな 「そうね!まぁどうしてもっていうなら付き合ってあげるわよ!」 「はは、じゃあどうしてもって事にしておいてくれ」 はぁ…私って素直じゃないな、でもキョンにはこれくらいで丁度いいかな? あっもう駅か、しかたない電車賃くらい出してあげるわ! 荷物持ちのお礼って事にしておいてあげる 「まってなさい、いま切符買ってくるから」 「えっいや「いいの!そこでまってなさい!」 「じゃあお言葉に甘えとくよ」 急いで切符を買ってキョンに渡したあと電車は以外とすぐにきた なんだろう、電車の中では会話できなかった… 最寄り駅が近いのもあるかもしれないけど あっおりないと! 「おりるわよ!ほら、もうあぶなっかしいわね!」 「悪い悪い、っとよし行くか」 「あぁハルヒ!そういえば荷物どうするよ」 あちゃー考えてなかった…今から学校に行くわけにもいかないしな…どうしよう… 「しゃーない、家で預かっておくよ」 「あっあんたにしちゃー気がきくわね、じゃあお願い」 「おう、あっ日程はもうきまってるのか?」 「うん、明後日にするわ、次の日が土曜日だから遅くまでなっても平気でしょ?」 「うーむ、あんまり関心しないがまぁそうだな、わかった、じゃあまた明日な」 「あっ…うん、ちょっとまって!」 あっ…勢いで呼び止めちゃった…どうしよう… 「ん?どうした?」 ほら…もう、いくっきゃないわね 「荷物重そうだし…途中まで手伝ってあげるわ!感謝しなさいよね!」 あっなによ!以外って顔すんな!バカ 「うーん今日はやけに優しいな?どうした?」 「ばか、いつも優しいわよ!」 「そうでした、じゃあよろしく頼む」 「うん」 軽い荷物を受け取って私が持つことにした、そういえばキョンの家と私の家って 少し遠いのよね、帰りどうしようかしら… まっ今日はいいわよね、少しでも長く一緒にいたいし 「おい~ここまででいいぞ~」 えっ?あっぼーっとしてた、もうついちゃったのか… 「うん…」 何か話せばよかったな… 「んーアレだ、今日はなんか俺ばっかり優しくされて不公平だな、家くるか?お茶くらいはだすぞ」 えっ?キョンの家?行きたいけど…どうしよう… 「いく!」 あっバカ!何素直にいちゃってるのよ 「おう、んじゃここからすぐだから、荷物はもういいぞ、助かった」 「うん」 それから少し歩いてすぐに家についた、結構いい家にすんでるのね 「ただいま~、おいハルヒ部屋はこっちだ」 「あっ、おじゃまします」 「今日は誰もいねーぞ、なんか母親は妹つれて友達と遊びにいったしな」 「あっあんたまさか!」 「ばっばか言うな!7時には帰ってくるとか言ってたし何もしせんわ!」 まぁキョンが相手なら…って何私考えてるんだろ! 「ちょっとからかってみただけよ、あんたにそんな勇気あるはずないしね!」 「後が怖いからな、っとお茶入れてくる、適当に座ってていいぞ~」 そういわれてリビングに通された 「ねぇ、キョンの部屋どこ?」 何言ってるんだろ私 「ん?部屋?なんでだ?」 「キョンの部屋がいい」 ほらまた… 「んー変なもの探すなよ?こっちだ」 「ばか!探さないわよ!それとも何かあるのかしらね?」 やった!キョンの部屋にはいれる! 「アホ、ないわ、ここだ~今お茶もってくるからまってろ」 そういってキョンは下にいった 「これがキョンの部屋か~以外ね、綺麗じゃない」 あっベットだ………… バフッ、キョンの匂い…いいにおいだなー…ガチャ 「おーいお茶もってきたぞ、っておい」 あっしまった! 「あっちょっと疲れたから横になりたかったの!」 うぅーしまった、見られた… 「ん、まあ飲め、冷めるぞ」 「うん」 うー気まずいな、早く飲んじゃえ 「あつっ!」 「おい!大丈夫か!みせてみろ」 うぅーばかした、舌やけどしてないかな… 「ほれ、はやくベロだせ」 「うん」 「大丈夫そうだな、あんま無理すんな」 「うん」 うん、としかいえないよ…きまずい… 「ばか…あんまり人のベロじろじろ見るな」 「あっ悪い悪い、っともう40分か」 「うん…」 どうしちゃったんだろう今日の私…なんか素直になれないな… 「送ってくよ」 「えっ?」 今送っていくって言ってくれたの? 「もう外も暗いしな、ほれいくぞ」 「あっ、うん」 今日はやけにキョンも優しいわね、どうしたのかしら? まさかキョンも…?だといいな…エヘヘ 準備も終わって家をでた 「おじゃましました」 もう秋だな~って思うくらい外は暗くて涼しかった ちょっと寒かったかな そうおもってたらキョンが 「今日はちょっと寒いな、上着きてくりゃよかったな」 「バカ…じゃあ手繋ごうよ…」 何言ってんだろう…カップルじゃないんだよ? これで断られたらきまずいよ…いつも見たく勝手に繋げばよかったのに… 「んーそうだな、でもいいのか?」 あっキョンもまんざらじゃなかったのね?よかった! 「今日は特別って言ったじゃない!明日からは無しよ!」 「へいへい、じゃあ今日だけ甘えておきますよ」 どっちからとも言わずに私達は手を繋いだ… お互いちょっと無言だったのはお互い気まずいからかな? とか考えてたらもうすぐ家だ 「キョン、ここまででいいわよ」 「ん?家まで送ってくぞ」 「大丈夫、もうそこの角まがったらすぐだし、親も心配してるからさ」 「んーそうだな、こんな時間に俺がいったら親もいらぬ心配するしな」 「ばーか、まっそういうことよ、今日はご苦労様」 「おう、んじゃまた明日な」 「うん」 少し名残惜しかったけど手を離した… キョンを見送って背中が見えなくなった… なぁハルヒ?今日のお前はどうしちまったんだ? そりゃ俺としてはだな、まぁうれしくないって言ったらウソになるが あいつもずいぶん丸くなったな、にしても俺はなさけないな… 普通男からすることをほとんどあいつからか… もう少し古泉を見習うか にしても俺ってやっぱりアイツのこと意識してるのか? 今日はやけに緊張したな、そりゃ普通にまともなデートとかは初めてだが 俺もしかしてあいつのこと… キョンに対しての気持ちっていつからだったんだろ… もしかしたら始めから?でも気持ちが確かなものだって分かったのは 今日改めてかな…たぶん好きになったのは夢の後あたりからかな… ねぇキョン… 「キョンにとっての私は?…」 「ハルヒにとっての俺は?…」 「俺にとって」 「私にとって」 「「アイツノソンザイって…」」